グッドガイ・アンド・グッドレディー・アンド・グッドピープル

フェザーはICBCにツッコんだ!! 即断!!


「あ、 おい!!」


キャタラが叫ぶ!! フェザーは走る!! まさかICBCと戦うおうと言うのか!?

ナポレオン検閲だ!!※1



※1:限りなく不可能な事柄。

フランスの皇帝に即位したナポレオンは不可能と言う言葉を辞書から検閲で無くしたが

出版業界は法の抜け道を探して不可能と同じ意味の『脱法不可能』を記載する事で検閲を回避した。

不可能を検閲する為には出版社全てを焼き払う事と同義と進言されナポレオンは検閲を断念した。



ジース!! フェザーが頭を前に突き出す!! 頭突きか!?


「頭からツッコムだと!? 死ぬ気か!?」

「あの構えはBUTIKAMASIぶちかまし!!」

「BUTIKAMASI!?」

「日本の武道の一つ!! スモーの技だ!! 頭から相手にツッコむ!!」


キャタラが叫ぶ!!


「スモーの技を使うとは凄い奴だ!! マルガレーテさん!! 俺達も行くぞ!!」

「い、 行く? あの牛の所に?」


無謀!! マルガレーテは当然恐怖!!

無理も無い!! マルガレーテは女騎士として受勲したがまだ未成年!!

否!! 熟練の騎士でも牛には勝てない!!※2



※2:真理



「黙って見てる為に騎士になったのかアンタ!!」


マルガレーテの恐怖が消えた!!


「伯爵!! 娘を任せます!!」

「待っ、 父さん!!」


中年貴族のベルモンド伯爵は自分の娘とピラを両手に抱えて直ぐに下がった!!


「職場から直接ここに来て助かったよ!!」


キャタラは大鉈を懐から取り出す。

キャタラは防風林の管理人をやっているので鉈は手入れの道具である。

マルガレーテも剣を引き抜く!! そして二人はICBCに走り出す!!

人間は牛には勝てない※3 だがこの二人をフェザーを馬鹿にする者はこの世に※4 存在しないだろう!!



※3:真理


※4:少なくとも地球上に




フェザーはぶちかましの体勢のままICBCに突撃する。

読者諸賢は疑問に思うだろう。

何故このフェザーと言う少年は見ず知らずの人々を助ける為に体を張っているのか?

フェザーが善人だからだろうか?

フェザーは悪人ではない、 しかしながら善人と言えるのか微妙

少なくともお人好しではない。

ならば何故だろうか? 打算か善意か?


答えは単純、 『人を助けるのは当然の事だから』である。


フェザーはウィルパワーの消費を抑える為に物事の選択肢を少なくしている。

故に『危険が迫っている人が居れば助ける』と決めている。

考える迄も無い、 そこに善意は介在しない。

良い事をしようとすら思っていない、 偽善ですらない。


だがフェザーがもしもウィルパワーの消費を度外視して考えても結果は同じだろう。

ここでICBCを如何にかしなければ何が起こるか分からないのだ

逃げても殺されるかもしれない、 ならばここで迎え撃つ。

クレバーに計算しただろう。







フェザーは強い、 S級決闘者だ。

しかしながら人間は牛には勝てない※4



※4:真理。



「ぶちかまし!!」


フェザーは技名を叫ぶ※5。



※5:ウィルパワーを高める儀礼の一つ。

技を発する時に技名を叫ぶと言うのは一番ポピュラーな代物である。



走るICBCの右足に頭から激突するフェザー!!


「BMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」


牛が激痛に叫ぶ!!

極限まで高めたフェザーのウィルパワーがICBCの右足を折ったのだ!!

だがしかしフェザーはICBCに吹き飛ばされる!!


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」


フェザーのぶちかましは無駄では無い!!

速度が弱まりバランスを崩し転倒寸前のICBCにマルガレーテの剣とキャタラの鉈が

ICBCの頭蓋に叩き込まれる!!


「BMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」


先程よりも大きく叫ぶ!!

致命傷か!?


「危ない!!」

「ぐっ!?」


致命傷を負った死にかけでも人間は牛には勝てない※5!!



※5:真理。



尻尾を振り回す事でキャタラが吹き飛ばされた!!


「この、 化け物め!!」


マルガレーテは折れそうになる心を必死に喝を入れる!!

余所者が必死に戦ったのだ!! 防風林の管理人が戦ったのだ!!

この街の騎士の自分が戦わなくて如何する!!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


マルガレーテは予備の剣を振り上げICBCの頭部に馬乗りになる!!

そして次々と連続して刺す!!


「BMOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!」


ダメだ!! 人間は牛には勝てない※6!!



※6:真理。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


マルガレーテは叫ぶ!!

真理なんて知った事か!! 道理なんて知った事か!!

魂のシャウトだ!!


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」


山彦!?※7



※7:山に住み人の叫び声を返す魔族の一種。

山自体に住む事が難しくなっている昨今は普通に生活をしているが

懐古主義者の山彦が今も尚コミュニティを作っているらしい。



「これは・・・」

「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」」」」」」」


街の民衆だ!!

街の民衆がそれぞれ鋤や鍬や鎌等で武装して戻って来たのだ!!

いくら牛でも足が折れ、 致命傷を負った状態で大勢の人間を倒すのは不可能!!

体が大き過ぎるあまり天国の門に入れない!!※8



※8:天国の門は狭い、 こんな巨大な牛は入れないだろう。



そして一昼夜に渡る激戦の末にICBCを倒す事に成功した!!

マルガレーテとキャタラは朦朧とする意識の中で民衆達の勝利の雄たけびを聞いたのだった。

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