バンドに雪乃

第47話

「こんちはー」


「おい、河西!ノックしろ!」


ライブ終わりの楽屋に雷が現れた。いつものようにノックしない。


「今日はー俺のお嫁さん連れてきたんすよー」


なに?…嫁?


「お、お世話になってます」


いるし!気まずい…イチャイチャしてるの見てしまったし。


「うを!なんだその胸は!本物か?」


さっそく憲緒さんは食いついた。


「本物っすよ!」


「おーまじでキャバ嬢じゃん」


トラさんは若干バカにしているようだ。


「…雷、お前なんでここに連れてきたんだ?」


「だってゆきのちゃんがバンドメンバーに会ってみたいって言ってたからー」


「すみません、バンドって素敵だなと思いまして、どんな方と交流されてるのか興味がありまして」


この人、俺のこと忘れてんの?


「そうかい?それより君の胸が気になるな」

「おねーちゃんは河西から金巻き上げてんの?こいつ金ねーしょ?」


「ちょーっと!ナンパだめっす」


「は?ナンパじゃねーよ?俺はリーダー憲緒ってんだ?かっこいいでしょ?」


「あ、そーだ!あや


思いきり雷は無視してその辺に寝転がってたボーカル綾に近づく。嫁はドア近くから動かない。

 

「綾のお店には指輪とかある?」


「え、河西さん?え、アクセサリーありますけど、はい…?」


疲れてる綾を無理やり起こして話す。全然理解してない。


「買いにいってもいい?お金はぶんかつしたいんだけど!」


「…な、なぜうちに?」


「指輪、ゆきのちゃんに買ってあげたいから」


「あ、あぁ奥さんにですか?それは、もっとちゃんとしたところがよろしいかと…え、そちらが奥さん?」


「いーじゃん綾〜!場所わかんないから、あとで俺に連絡してね!じゃー行こうか」


雷と嫁は俺たちと中途半端に絡んで帰ってしまった。しょうがないから、雷の連絡先を綾に教えてやった。

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