第33話

「あー、先人」


ふらっと歩いてたところ、雷と会った。


「お前、今から仕事?」


「そー」


「川中先生から聞いたけど、友達に見られたって?」


「へ…」


「白い髪のやつだよ」


「やー!やめて!恥ずかしー」


「そこは恥ずかしがるのか」


「ちゅーしたの見られた」


「運悪いな」


「昨日ゆきのちゃん酔っ払っちゃって帰ってきたら、すぐちゅーしたんだよ?息できないかと思ったし」


具体的に話せとは言ってないのに。そこは恥ずかしがらないのかよ。


「へぇ、積極的だ」


「悟流いるのにーもーやだよー」


「ど、ドンマイ」


「ゆきのちゃんは覚えてないってさ、ひどい!」


「そりゃ可哀想に」


「もうくたくただよーじゃ仕事行くー」


雷はいつもよりお疲れのようだ。俺は買い物へ。すると、偶然にも雷の嫁が。


「あ、こんにちは」


「あ、どうも。さっき雷と会って話しました」


「そうなんですね。先人さん、いつも雷くんによくしてくださって、ありがとうございます」


「いや、双子だし話聞いてるの楽しいから」


「そうですか」


なんか、ちょっと羨ましそうにしていた。双子の輪に入りたいのか?しかしこの人、雷が余計なこと話してんの知らないとか。まあ知ったら超嫌な気分になるだろうけど?


「いやー今日は大盛況!万々歳!」


家に帰ると、柚香はうるさくしていた。


「お疲れ」


「ねぇ、先人。引っ越してきた人たちさぁ、なんの仕事してんの?夜中に帰ってきてない?」


「さぁ」


「危ない仕事かな?」


「知らね」


「先人、今メールきてたけど、誰よこれ」


画面に名前が表示されていた。紗絵。あ、雷が無理矢理登録したんだ。


「それ、引っ越してきた人の姉だよ。双子で気があってさ」


「えー、いつの間!双子とかレア」


「しかも同い年」


「うげー!…え、まじか?先人、それは浮気?」


「ちげーし。双子あるある話してんの」


「あー、そう」


柚香は興味をなくしたようだ。メールを確認する。


お姉さんは、お仕事忙しいですか?四人で会えたらいいな。でも雷は気まぐれだからどうかな?


真奈ね…

連絡しないと。


「ごめん、メール長くなりそうだったし、電話した」


「ううん。いいよ」


「真奈呼ぶときあの彼氏も呼んでもらおうと思うけど、嫌?」


「いいよ」


「じゃ、いつ休みか教えて」


「大学は平日あってそれ以外は今週は空いてるよ。…雷は夜以外なら大丈夫だと思うけど」


「わかった。紗絵ちゃんの彼氏も連れて来ていいけど」


「そういうの苦手だしいいよ」


「あっそ。あの人めちゃきのこじゃん。昔からあんな髪型?」


「ううん。大学のときからだよ。高校では染めちゃだめだからね」


「ふーん。黒髪なの?あいつ」


「そう。私よりすっごくさらさらだよ」


「へー?ま、とりあえず連絡してみるよ。先人うぜーて言うと思うけどさ」


連絡すれば真奈はたいてい来てくれること知ってる。なんで連絡できなかったのかというと、きのこ彼氏もセットだからだ。

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