第31話
「なんか先人くんの方がお姉さんを心配してて、お兄さんみたいね」
「実質俺が弟なんだけど」
「しっかりしてるね」
「それはこっちのセリフ。紗絵ちゃんはお姉さん感ばりばり」
「そんなことないよ。お酒飲み過ぎて怒られたことあるもの」
「まじで?酒癖悪い?」
「ビール大好きで、片付けないで飲みつづけちゃうの」
「へー、豪酒か」
「私、雷のバンドの人に…ライブハウスで働いてること知ってる?」
「は?なにそれ?」
なにから話そう。先人くんと話してると楽しい。
「そこの先輩がね、よく見たらかわいいって言ったの。ひどいよね」
「よく見ないとだめなのかよってな」
「雷は私が先輩たちと話してるとき、ナンパだめって言うの。俺にナンパしてるみたいって」
「なんだそれ」
「私と雷は昔声がすごい似てて、どっちが紗絵なのか雷なのかってなってたの。似てると嫌なこともあるよね」
「俺は真奈と性格似てんだよ。だからむかつくときも結構一緒」
「そうなんだ。お話ししてみたいな。面白そう」
チャイムが鳴った。
ので、先人くんは玄関へ。
「あれ、お前なにしに来た?」
「紗絵ちゃんはまだいる?」
あ、雷の声。私も玄関へ向かう。
「いるけど?」
「紗絵ちゃん!悟流が知ったら怒るかもしれないから、帰ったら?」
「大丈夫よ。雷のお友達だもの」
「紗絵ちゃんもお友達になったの?」
「なったよ」
「よかったー!やったね!」
「じゃあ私、そろそろ帰るね」
荷物を取り、靴を履く。
「あ、先人今聞こうか?」
「は?なにを?」
「ねぇ、紗絵ちゃんなにカップ?」
…なんでまたそんな質問を思いついたんだろ?
「俺聞いてねーよ!変なこと聞くな!」
先人くんが言ったこと?
「あ、わかった。先人くん、奥さんに知られたらまずいよ」
「だ、だって、気にならない?」
白状した。正直者。
「気になるねぇ、雷は知ってるの?雪乃ちゃんは何カップか」
「秘密だよ?紗絵ちゃん、hだよ」
秘密と言いながら言う。…しかしながら現実離れしている。
「で、紗絵ちゃんは?」
「どー見てもないでしょ?そんなこと聞かないで!」
「えー、なんで?もー帰るよー!」
雷だけ先に出た。
「先人くん、雪乃ちゃんを変な目で見ないでね」
「見てない。世界の珍しいレベルだな」
「確かに…驚き。私とは雲泥の差」
「でも彼氏はそれでいいって?」
「え、彼氏…?」
「きのこ頭だけど、あんなんがいいわけ?」
ちょっとバカにしてるのばれてるよ、先人くん。
「お家が美容院で、今はバンドマンしてるだけ」
「なるほどねぇ。で、彼氏はその大きさでいいって」
「失礼な。いいって言ってます。私の小学生時代なんかと比べてるし、そりゃそれよりあるわよって話」
こんな話したくないのに。
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