第28話

これは、なんだ。

雷の嫁が帰ってきた途端押し倒して、キス。


…雷のあんな顔、初めてだ。


いつも照れないのに、すげぇ照れてた。あれは、紗絵ちゃんに似てる。その声と言ったら、お前は紗絵ちゃんか!あー恥ずかし。


「怪しい、誰ですか?」


え…


階段を上がってきた人は目つきが悪い人。

雷の知り合い?いや、この人じゃないな。


「俺は、ここの家のやつの友達です」


「それにしては慌てて出てきたな…怪しい」


「そ、それは…」


言えるかばか!


「誰か家いる?」


「だ、だめです!と、とにかく!中入っちゃだめですから!」


この場から消えたい。なんで俺が恥ずかし目にあってんだよ。てかこの人なに?


「お前、ここの家の人の不倫相手かなんか?」


「あ、ありえないです!」


「なんだよ。じゃあなんだ?」


そんなん、言えるかー!


と言えることもなく、走り去るしかなかった。俺は走ってばかり。

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