第20話

「おい、雷!引っ越したのかよ」


「ちわーっす!悟流さとる!」


受付に悟流が走ってきたんだけど、練習しないのかな?


「引っ越したのか?って聞いてんだけど」


「うん、そうだよ」


「いつ?」


「うーん、昨日?おととい?」


「どこに?」


「えっとーあ、だめだめ!悟流と会いたくないって」


「は?なにそれ?」


「おい河西!こっちこい」


中から先輩に呼ばれたから行かないと!


「うーっす!じゃねー悟流」


なんか悟流うるさかったなぁー

その後普通に仕事してたら


「雷!まだいるか!」


「んーなーに?」


また悟流が走ってきた。さっき話したのに聞かないんだから。


「お前…結婚した?」


「うん、そーだよ?」


「知らねーよ!なんで言わないんだ!」


「言ったと思ってた~」


「先輩!河西が結婚したこと知ってます?」


隣にいた先輩にも聞いてる。


「は?お前が?…あ、キャバクラのねーちゃんか?一回つめよってきてた」


「キャバクラじゃないっすよ~!でも、その子っす」


「なんだよ!俺知らねーよ!お前、ちゃんとみんなに言えよ!ここのスタッフにも言えよ!契約の変更あるだろが!」


「もー、悟流うるさいなぁ。先輩、みんなに言わないといけないんすか?」


「よくね?適当で」


悟流は嫌そーな顔してる。


「お前の彼女はなんで俺と会いたくないんだよ」


「えー?紗絵ちゃんの彼氏だから頭いいからって。難しいのやだって」


「俺そんな頭よくねーし!今度会わせろ!」


「えー聞いてみないとだめ」


ゆきのちゃんに帰ってから確認したら、次の日の仕事終わりに会っていいって言われた。

だから、悟流を連れてきたよ。


「雷、どうやってここ見つけたんだ?」


「お店に大家さんが来るから。教えてもらったー」


「なんだよ、知り合いか」


「ただーいま!」


部屋に入るとゆきのちゃんは緊張した顔をしてた。


「お、おかえりなさい…」


「早川です」


「あ、…あの、はじめまして、雪乃と申します」


「雷、俺もう帰る」


「えー?なんで?」


「怖がってるし…」


「そ、そんなことは…」


「じゃ」


悟流はすぐ帰っちゃった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る