第17話

「え、大家さんの?知り合いなんだ?」


「そうっす!」


「河西です。よろしくお願いします」


やけに明るい男の子と、巨乳な女の子。2人は若い。いきなり隣の部屋に引っ越してきた。


「私は川中碧唯かわなかあおいよ。碧唯さんって呼んでね?私、心理カウンセラーしてるから川中先生でもいいわよ?」


「そうなんですね、すごいです」


男の子はきょとっとしてる。わかっていない。言葉の意味がわからなかった、それか処理が追いつかないのか。


「名前なんていうの?」


「雷っす!かみなりって読める漢字っす」


っす、はなんだろう?敬語ではなく、ガテン系のような話し方。かっこいいと思ってる?


「そう、あなたは下の名前は?」


雪乃ゆきのです」


「かわいいわね。雷くんはなんて呼んでるの?」


「ゆきのちゃんっす」


「家でもそんな風に話すの?よろしくっすって」


「え?これねぇ、ライブハウスのみんな使ってるっす!先輩とか〜上の人とかにも使うんすよー」


勘違いみたい。


「私にはいつものようにお話ししていいのよ?」


「わかった!で、おねーさんは結婚してるの?」


「うん。子供もいるよ?旦那さんもいる」


「ふーん、今は仕事に行ってるの?」


「そうよ。雷くんは仕事なにをしてる?」


「俺はーライブハウス!」


「受付をしています」


雪乃ちゃんがフォローしている。


「雪乃ちゃんはなんの仕事?」


「私は、最近始めたばかりなのですが、ブライダル細川での事務職です」


「へーそうなんだぁ」


ライブハウスはアルバイトかな。


「雷くん、雪乃ちゃん好き?」


「うん!そうだよ?お嫁さんだよ」


「最近結婚したの?」


「はい、本当につい最近なんです。今でもこうして2人でいられるのも不思議なんです」


雪乃ちゃんはなんか、重い。


「…私はあまりここにいないかもしれないけど、下に住んでる高原たかはらさんはすごく優しいから、お話しするといいわ」


「はい、ありがとうございます」

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