第3話

「その人たちから、お金…取られた?」


「お金?取られてないよ」


「なんで無理やり連れて来られるの?」


「うーん、お母さんに怒られるから?俺のせいにするのかな?」


この店は学生お断り。それでこの子を無理やり…?


「そんなことされたことある?」


「うーん、前だよ?」


この子が連れてきたって言えば、もし大学にばれたとしても逃げられる。なにもかもこの子のせいにする。ひどい。


「あ、俺の名前は、河西雷かわにしらいだよ!漢字はねー難しいんだけど、普通の流れるやつ?の川じゃないよ!西はねー西だよ!」


無邪気でなにも知らないで連れて来られた。のに、私は責めてしまった。


「雷はね、カミナリって読めるやつ!」


「そうなの」


「お姉さんの名前は?」


「…キャサリン」


「難しい名前だね!どんな漢字なの?」


「…今のはここでの名前」


「ん?」


理解ができなくて困ってる。


「私、夢路雪乃ゆめじゆきの。漢字は難しいからゆきのでいいよ」


「ゆきの?ふーん、そうなの」


「雷くんはバイトで嫌なことされないの?」


「嫌なこと?難しいこと言われたらわかんないから、なんにもさせてもらえないときとか?」


「そっか…」


ちゃんと教えてあげないんだ。それでいて、責められるのかも。


「雷くん、私はこの仕事したくないんだけど、お金を返さないといけないからやってるの」


「借りたの?」


「うん」


「でもさー嫌な仕事したくないよね!」


「うん、さっきは怒鳴ってごめんなさい」


「ううん!俺バカだから、怒っていーよ!」


…いつもそうされてるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る