4話 新たな出会い

更新遅れてしまってすみません💦なるべく定期的に更新していくので、これからも見ていただけたら嬉しいです!

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清蘭高校はまだ創設15年と日が浅いが、生徒数は多い。1学年あたり600人ということもあって、同じクラスになったり取っている授業が同じでない限り、関わることも話すこともない。そんなマンモス校とも言える高校のため、現在行われている入学式の会場である体育館も、えげつない大きさをしている。聞いた話では、武道館並の大きさだとか。



入学式では来賓の方々の挨拶、校長式辞、生徒会長挨拶、そして新入生代表挨拶がある。最初のふたつは知らないおっさんが長々と話をするだけなのでカット。そして生徒会長挨拶を迎えると、何やらザワザワとしだす。



その要因は生徒会長を見たことで納得する。手入れされた綺麗なブロンズ色の長い髪、美しく整った顔立ちにモデルのようなスタイルは、見る者を魅了していた。



「....以上で挨拶とさせて頂きます。在校生代表春川心音」



なるほど、どうりで男共がザワザワし出す訳だ。あんな綺麗な人が生徒会長だもんな。


「続きまして、新入生代表挨拶。新入生代表、森山隼斗」


「はい!」


呼ばれたので大きな声で返事をする。そう、何を隠そう俺は入学試験でトップの成績だったため、新入生代表挨拶を任されていた。


「あれが森山君?実物めっちゃかっこよくない?」


「やば、同じ学校とか!でも、同じクラスの人羨ましいな〜」


「あんなかっこいいのに頭もいいとか、やばすぎる♡」


ん、なんでこんなザワザワする?俺なんてただの陰キャだぞ?


なんやかんやあり無事に挨拶も終わり、入学式を終える。席に着くやいなや、雪奈が当たり前のように手を繋いできて、指を絡ませてくる。なぜか、ムッとした顔で。


「...むぅ」


「なんだよ、なんで怒ったような顔してんだよ。てか手を繋ぐな!」


「怒ったようなじゃなくて、実際に怒ってるもん!きゃあきゃあ言われて、満更でもない顔しちゃってさ!手を繋いでるのは、私を悲しませた罰でーす」


「はあ?俺にきゃあきゃあなんてする訳ねーだろ?まあいいや」



まあこの状態の雪奈に何を言っても無駄なので諦める。そうこうしているうちに、俺たちの担任の先生がやってくる。


「2組の担任になりました、新川結(しんかわゆい)といいます。私も新任なので分からないこともありますが、1年間よろしくお願いします!」


背は低めなのだが、目を引くのは動く度に揺れる大きな胸。そして可愛らしい童顔。男共が湧くのも無理ない。まあ、俺はそれを知っていたので見なかった。


「明日から授業が始まるので、お弁当を忘れないように!あ、あと森山君は後で職員室に来るように」


「はーい」


今日は入学式が終わったら下校の為、みんな帰る準備を始める。


「隼斗呼ばれてたね、なんでだろ?新入生代表挨拶関係かな?」


「....さあな。まあそうだろ」


「まあいいや、教室で待ってるから。終わったら来て〜」


「はいよ」


そう雪奈と会話を交わし、教室を出る。呼ばれた理由は新入生代表挨拶関連では無い。俺は知っていた。


「失礼します」


「....来たわね」


「ああ、まさか結がこの学校の新任で、まさかの俺の担任とは。びっくりしたわ」


「...はーくん!!!」


「おわっ!抱きつくな!誰かに見られたらどうすんだよ!」


「むぅ。いいでしょ、私たち従姉弟なんだし」


そう言ってムギュっと大きな胸を押しつけながら抱きついてくる。俺はもう慣れたから良いが、童貞男子高校生がやられたらイチコロだろうな。



新川結は俺の従姉弟だ。俺が小さい時からよく森山家に来ていたからよく知っている。なんなら知りすぎている。俺が結の身長を追い抜かした辺りから、結のスキンシップが激しくなった。何度も俺と身体的に結ばれようとしたり、風呂に乱入してきたり、寝てる間にキスしてきたり、アソコを上下に動かしてきたり。最近は教師になるために色々忙しく家に来ていなかったためやられていないが。


「それはそうとはーくん、今日から私、はーくんの家に住むことになったから!」


「は?どういうことだ!一人暮らし始めるんじゃなかったのか!?」


「うん。その予定だったんだけど、どうしてもはーくんと一緒が良くて...はーくんママにお願いしたら、OKしてくれたの!これからずぅっと一緒だね、はーくん♡」


「母さん...昔から結に甘いと思ってたけどまじかよ...はあ」


「今日から住むことになってるからよろしくね!あ、あと連絡先交換しよ!何かあったらすぐ連絡できるから!携帯貸して!」


「はいはい」


そういってスマホを渡す。が、なかなか返ってこない。絶対なにかしてるな。


「...っておい!何勝手に人のLIME見てんだよ!プライバシーの侵害だぞ!」


「...はーくん、随分と女の子の連絡先が多いみたいだけど?雪奈ちゃんはいいとして、なんでこんなに登録してるの?もしかして他に好きな人でもいるの?ねえ教えてよ。どういうこと?」


「へ?いや、さっきクラスの人と交換しただけだけど?」


「ふーん、そうやって女を誑かすんだ。やっぱりはーくんは私がいなきゃダメだね♡ふふ、でも安心して。これからずぅっとはーくんは私と一緒だから♡」


そういってぎゅうっと体を押し付けてくる。そうだった、結は何故か知らんけど、俺が女子と話したりしてるとこうやってヤンデレっぽくなるんだった。いや、ヤンデレだ結は。


「わかったから離れろ!家だったらまだしも、ここは学校なんだからさぁ...」


「え?それって家でならいっぱいイチャイチャしていいってことだよね!?もう、はーくんったら照れ屋なんだから♡わかった、家まで我慢してあげる。だから家では...ね?」


上目遣いをして俺の顔を覗いてくる可愛らしい童顔は、俺をドキッとさせる。小悪魔だ。


「わかったから。じゃ、後でな」


「うん、後でね!」


「やっべ、だいぶ時間過ぎちゃったな。」


俺は雪奈が待つ教室へと急ぐ。


「悪い雪奈、話が長引いたもんで」


「もう、遅いよ隼斗!さ、帰ろ...ってちょっと待って。はやとから女の臭いがする....」


「ああ、結のことだろうな。知ってるだろ?結が俺の従姉弟だってこと」


「やっぱり新川先生って、結姉ちゃんの事だったのか。私は最近会ってなかったから、まさかとは思ったけど...」


「ああ、そのまさかだよ。しかもさ、今日からうちに住むって言うんだよ。はあ、困ったもんだ」


「...は?今なんて言った?」


「ん?だから、今日から結がうちに住むって」


「...決めた、私も住む」


「お前何言ってんだよ!ダメに決まってんだろ!」


「もしもしお母さん?今日から隼斗の家に住んでもいいかな?...うん、わかった!ありがとうお母さん」


「あ、あのー雪奈?いったい何をしていらっしゃるので?」


「決まってるでしょ、お母さんにいいか聞いたのよ。勿論いいって言ってくれたわ。隼斗のお母さんは私に甘いから絶対許してくれるし。結姉ちゃんめ、そういうことなら受けて立つ」



なんでこうなってしまうのだろうか。俺はただ、普通に生活して、彼女つくって、平穏な日々を送りたいだけなのに。はあ、プランの練り直しが必要みたいだな。



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