第18話13日の金曜日

今日は10月13日の金曜日。

山崎が社食のパンチラスポットで、酢豚定食を食べていると、LINEの通知音が鳴る。


『今夜、6時に千代で飲みませんか?お泊まり保育で!』


山崎はニヤリとしたが、童貞である事がバレるのが怖い。

ならば、なりふり構わず藤岡にレクチャーしてもらおう。

振り向くと、斜め後ろで、藤岡がまたラーメン定食を食べていた。

食事が終わるのを待ち、山崎は藤岡に声を掛けた。


「あのぅ~、係長。ちょっといいですか?」

藤岡は茶を飲んでいた。

「セックスの仕方、教えて下さいっっ!」


ブッ!ゲホッゲホッ!


「何だ!山崎!藪からスティックに!」

「藪からスティック?」

「藪から棒に!二度も言わせるな!」

「すいません」

山崎はペコリと頭を下げた。

藤岡は、

「初心者ならば正常位だがな?冒険するなら、立ちバックだ!しかも、洗面台の鏡の前で」

「そ、それは係長の趣味では?……」

「じゃ、話しに乗らない」

「ま、待って下さいよ!真剣なんです。教えて下さい」

「じゃ、トイレ行こうか?」


2人は食器を返却口に置き、トイレに向かった。

今度は慎重に誰もいないトイレで藤岡は山崎にレクチャーした。

藤岡は洗面台に肘を付き、後ろから山崎が股間を当てた。

「ダメダメ、下から突き上げる様に!」

「こ、こうですか?」

「もっと、ガッツリこい!腰が砕ける様に突き上げるんだ!」

「こ、こうですか?」

「いいぞ、そのまま、色んな部位を揉むんだ!」


人の気配がした。

藤岡は、一気に崩れ落ち、

「か、係長!大丈夫ですか?」

「な、何があった?山崎君!」

田山課長だった。

「す、すまんすまん、山崎君。目眩がしただけだ。田山課長、ちょっと疲れているだけです」

田山は心配そうに、

「藤岡君、君は昼でアガリたまえ。係長もキツイだろ。疲れが出たんだよ」

藤岡は、

「じゃ、お言葉に甘えて僕はアガリます。山崎君、成功を祈る」

藤岡はウインクした。気持ち悪い。

「ありがとうございます」

「山崎君、何の事だね?」

山崎は固まり、

「ら、来週のプレゼンの話です」

「そうか」

田山は大便所に入ると、


ブッ!ブリブリッ!プス~


残された2人は顔を見合わせた。


夕方、6時。10月だと言うのにまだ暑い。山崎はジャケットを手に持ち、ワイシャツは腕まくりした。浅黒い筋肉質の腕が見える。

千代の前で千紗を待っていると、薄着の格好をして千紗が現れた。

Fカップはあるだろう胸が揺れていた。

「山崎さん、こんばんは。今日はありがとうございます。たくさんのみましょうね。ウフフ」

「う、うん。お泊まり保育何だよね?」

「はい。わたしがお背中流します」

「どういう意味」

「もう、鈍いんだから。さっ、飲みましょ?」

2人は店に入って行った。


「あのぅ~、山崎さん、いままで何人の女性とお付き合いされてきたんですか?」

千紗は、ウイスキーのジンジャーエール割りを舐めるように飲みながら質問した。

「……ざっと、80人かな?」

山崎はバカである。

「……80人!凄いですね。じゃ、エッチも上手いんだろうなぁ~」

「ま、僕のあそこは『妖刀・村正』って、言われてるし」

「あっ、この前全裸で踊ってましたが、スゴイ大きいですよね。あんなの、入れたら内臓破けちゃう」

「そ、そうかい?」

山崎はバカである。

「もう、10時ですから、わたしん家で飲みましょう。昨日、ボウモア貰ったんです」

「飲もう飲もう」

2人はタクシーで、千紗の家に向かった。

山崎は果たして、千紗を攻略出来るのか?


千紗は思惑通り山崎とセックス出来るのか?

お互いの心理戦が錯綜する夜となった。

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