第17話千紗とひとみ

ラージスロープ学習塾の講義を終えた、世界史担当の小林千紗と数学担当の神田ひとみは、22時に職場を後にした。

2人はすっかりお馴染みの、居酒屋千代に寄った。

2人ともハイボールを飲みながら、小鉢をつついた。

「ひとみちゃん、先週の日曜日、山崎さんとキスしちゃった」

「あらっ、進展ね。ディープに?」

「軽く、チュー」

ひとみは、野菜スティックをかじりながら、「結婚まで、程遠いね。今度、エッチしちゃいなよ!山崎さんって、きっと童貞よ。千紗さんが、リードしなきゃ」

「あんまり、グイグイ行くとまた逃げられちゃうからさぁ~」

千紗はマグロのユッケをずっとかき混ぜていた。


「今度の金曜日また、誘いなよ」

「何を?」

「お泊まりに決まってるじゃない。早いとこエッチして、もし千紗さんが妊娠すれば、授かり婚だからさぁ~」

「ひとみちゃん。かわいい顔して、怖い事言うね」

「もう、結婚のチャンスはないよ!これ逃したら、諦めなさい」

ひとみの言葉が千紗の心にグサリと刺さった。

「ウルトラセブンのネタも尽きたし、どう誘うの?」

「どうって、千紗さんは山崎さんの彼女なんだから普通に誘えばいいじゃない」

「まぁね。取り敢えず飲もうよ」

「うん。そうしましょう」

千紗はようやくマグロユッケを口に運んだ。

2人は、1時過ぎまで飲んでいた。

そして、いよいよ金曜日、千紗は山崎を飲みに誘った。

決戦は金曜日!

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