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お兄様に認めて貰う。
その一心で手合わせを申し込んだ。
元々は折角お兄様とじっくり話せる機会なのだから、じっくり話そうとしていた。だが話の流れが自分の分からない方面にいってしまい、つい共通の話題に振ってしまったことが発端だ。
だが今となっては、その流れも良かったかもしれない。
(お兄様と手合わせできる……!)
普段は、別々の先生に教わっているため一緒に習うことはない。自分の実力も貴族のため試す機会はない。だからこそ自分がどの程度できるのか、そしてお兄様がどの程度強いのか興味があった。
「さあお兄様、みていて下さいね!」
そうして打ち合いが始まる。
まず小手調べに基本の面打ちから、剣を振り上げそのまま振り下ろす基本動作だ。お兄様は絶妙にまるで腰が引けたかのように一歩下がり、私の攻撃を避ける。
うまい――
こちらの初手の攻撃をいなすような動作に、気概が削がれる。相手から反撃があるかもしれない、気を緩めず構えるが相手からの攻撃は無かった。
「……お兄様は攻撃してこないのですか?」
正直、今は隙だらけだっただろう。もし先生だったら容赦なく一撃入れてきていた。
「ああ、サーニャ。これは掛かり稽古だ。好きなだけ打ち込んでくるといい」
お兄様の言葉に、少しカッとなる。
「分かりましたお兄様、では本気でいかせて貰います!」
怒涛の攻撃ラッシュが始まる。右、左と攻撃を繰り出しながら隙を伺う。強いとは聞いていたが、まさか防御面で強いのか。そう思うくらい攻撃が相手にいなされる。
そして何より明確に、打ち込めば打ち込むほど、攻撃すればするほど、攻撃をいなすのがうまくなっている。まるでこちらの挙動や動きが完全に読まれているような気さえする。
「はあ、はあ」
絶え間ない攻撃を仕掛けているため、段々と息が上がってくる。先ほどの言葉は決して驕りではなく、実力差を加味した言葉だったのだ。
1分程度攻撃を仕掛けたが全て不発に終わる。
「はあ、はあ。ありがとう、ございます……」
強い……私とお兄様はこんなにも実力差があるのか。
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