15

一撃目、びびって腰が引けてしまった。


 そもそも剣術を覚えていないので攻撃の仕方なんて分からない。だから防御に徹することにした。


 前世の記憶を辿る。確かこう防御に徹する稽古のことをこういったはずだ。


「ああ、サーニャ。これは掛かり稽古だ。好きなだけ打ち込んでくるといい」


 その言葉をきっかけにサーニャは容赦なく打ち込んできた。


おい! 容赦ないな!


 最初は、ゆっくり丁寧な攻撃だったため、なんとかいなしていくことができた。それから段々と体が動きを思い出してくれたのか、スムーズに攻撃をいなせるようになっていく。


(最初から全力で来られていたら危なかった……)


 妹は俺の体があまり動けていないことを加味して、最初はゆっくり攻撃してくれたのかもしれない。なんていい子なんだ。


 それから妹は段々と体力が無くなっていき、ついに体力を使い切ったのか打ち込むのを辞めてしまった。


「はあ、はあ。ありがとう、ございます……」


「うん、いい打ち込みだったよ」


俺は嘘偽りなく、感想を伝えた。

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