13

「さあお兄様、みていて下さいね!」


 そういって彼女は剣を構える。構えは正眼で王道の構えで、普段は女性の剣士の人に教わっているらしい。武器はショートソード、左手には小楯を持っている。


対峙するのは俺。


(どうしてこうなった……)


俺は数分前の行動を後悔する。


 ボロが出ないように税収について話を逸らしたあたりからだ。段々と会話に付いていけなくなったサーニャが拗ね始めた。段々と頬が膨らんでいたのだが思考に没頭していた俺は気づくことができなかった。


「お兄様!」


「お! ど、どうした?」


 ついに我慢できなくなったサーニャは声をあげる。


「私も最近、剣術がうまくなったんです! 是非見てください!」


「いいわね、私も見たいわ!」


 そこに賛同するエイミー。そこからあれよあれよと庭まで出ていき、サーニャが剣舞を披露する。


(うーん、わからん)


 人間関係の確認をしていたため、本棚に入っている『剣術』の本をまだ読めていなかった。そのため俺の剣術の知識は前世の知識のみだ。剣舞は確かに凄いと思うが、専門的なことなど何も分からない。素人が歌舞伎をみても凄いのは分かるけど何が凄いのか分からない、そんな感じだ。


 そんな態度が良くなかった。妹は更に拗ねてしまった。


「お兄様! 是非、私と手合わせしてください!」


 そうして妹と手合わせをすることになった。

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