第26話
召喚された悪魔は人間の頭ほどある太さの尻尾で何度も地面を叩く。その様子はまるで犬のようであった。もっとも犬と呼ぶにはおぞましい姿をしているのがこの悪魔だが。
「ははは! どうだこいつさえいれば俺は金剛会の組長も、それ以上の地位も夢ではない! さあまずは目の前の奴らを……」
続けて「殺せ」そう言おうとした金剛会のドワーフであったが、言い切る前にその体は壁に叩きつけられる。
なぜならば召喚した悪魔が、鬱陶しそうな目で金剛会のドワーフを殴り飛ばしたからだ。そんな光景を見て慌てるマシンガンを持ったトロールと、アサルトライフルを持ったエルフ。
彼らを待ち受けていたのは、悪魔による蹂躙であった。
百キロ以上あるトロールの体は悪魔によって容易く持ち上げられ、そのまま体を横に真っ二つに引き裂かれる。
「うわあああぁぁぁ!」
トロールの無残な死を見たエルフは狂乱状態になると、アサルトライフルの照準を悪魔に向け、ためらうことなくその引き金を引いた。
アサルトライフルの銃口から放たれた弾丸の雨は、真っ直ぐに悪魔の胴体へと向かって飛んでいく。そのまま弾丸は悪魔の胴体に命中するのだった。
しかしアサルトライフルの銃弾を受けた悪魔の胴体には、貫通しなかった銃弾によって多少の傷ができた程度であった。
「あああ……」
アサルトライフルの銃弾が効かないことに呆然としてしまうエルフ。悪魔は股ぐらの蛇を操ると、そのままエルフの口へと無理矢理侵入させる。
「んごおおぉぉ!!」
突然自分の口に入ってきた蛇にエルフは驚くが、すぐに歯を食い込ませて蛇を噛み切ろうとする。
しかしいくら力を込めて噛んでも蛇を噛み切ることはできず、それどころか蛇はより深く身体に侵入していく。
そのままエルフの身体は内にいる蛇によって、内側から破裂させられる。肉片となったエルフの死体は床一面に飛び散り、周辺を赤く染め上げていく。
「う……」
エルフの惨たらしい死に様を見たアイシアは、思わず口を抑えて吐き気を我慢する。
アイシアが動けない間にもムゲンは冷静にアサルトライフルの照準を、悪魔の眼球に合わせ銃弾を撃つ。
放たれたアサルトライフルの銃弾は、まっすぐに悪魔の右目に飛んでいく。しかし悪魔は向かってくる銃弾に反応すると、その手で掴み取るのだった。
「な!?」
悪魔の反応力の速さに思わず絶句してしまうムゲン。次の瞬間、悪魔はムゲンの目の前に音もなく移動すると、丸太のような太さの腕を振り回す。
風を切る音と共に放たれた一撃は、ムゲンの身体に命中する。そのままムゲンの身体は壁まで勢いよく吹き飛ばされると、そこでようやく止まる。
その時の衝撃でムゲンの手からアサルトライフルが離れ、地面に転がっていく。
「うぐうううぅぅぅ……」
痛い。ムゲンの背中に強烈な痛みが襲いかかる。その痛みは一瞬でムゲンの意識を奪いかねないものであった。
だが身体に流れるドラゴン、吸血鬼、淫魔の遺伝子によって構成されているムゲンの身体でなければ、先程の一撃でムゲンの身体はミンチになっていただろう。
「ほう今の一撃を受けてまだ生きているか」
「な……しゃべれるのか……」
悪魔の口が開くと、ムゲンたちを見下したかのような傲慢な声が部屋に響き渡る。その声を聞いたムゲンは驚きを隠せないでいた。
「ふん、定命の者が私を召喚するだけなら物言わずに聞いてやっても良かった。だがなんだあの男は! まるで私の力を自分の物のように話すとは!」
悪魔はまるで演説するかのように腕を動かし、倒れているムゲンに一方的に話しかける。だが痛みに耐えているムゲンが反応しないと見るや、悪魔は唖然として立ち尽くしたままのアイシアに視線を向けた。
「ふん、まあいい。万魔殿の司令でサタナキアの分霊たるこの私を、このような粗末な儀式で召喚したのは褒めてやる。だが私の機嫌は今とても悪いだから女、貴様を凌辱してくれる」
悪魔は舌なめずりすると、じわじわとアイシアに向かって歩いて行く。それはわざとゆっくりと近づくことでアイシアの恐怖を引き立てようとする、悪魔の策略であった。
「あ……」
すぐに逃げようとするアイシアであったが、恐怖で身がすくんで動けない。そのまま悪魔は両手でアイシアの服を掴むと、そのままビリリと音をたてて破り捨ててしまう。
服を破られたことでアイシアの白く美しい肌が露わとなり、それを悪魔は見て満足そうな笑みを浮かべる。
「きゃあああぁぁぁ!」
「ふん、うるさいぞ女。せめて嬌声を上げてみせろ」
反射的に叫び声を上げて、露わになった身体の上下を両手で隠すアイシア。
そんなアイシアの反応を見て、呆れたように呟く悪魔。
次の瞬間、悪魔の瞳が怪しく光る。
「あ……❤️ん……❤️」
先程までこわばっていたアイシアの様子が一変する。
まるで発情したかのように頬を赤く染め、掴まれた状態にも関わらずモジモジと下半身を動かしていく。
そのまま悪魔はアイシアの胸元に手を這わせると、そのまま揉みしだくように指を動かしていく。アイシアの豊かな乳房は、悪魔の手によってぐちゃりと歪められ、形を変えていく。
「ふん、これでいい。さあ我を受け入れよ」
そう言って悪魔は股ぐらの蛇を操り、裸のアイシアの元へ近づけていく。
「ああ……❤だめぇ……❤そこは❤」
アイシアは迫り来る大蛇に対して、拒絶するように叫ぶ。しかしその声には艶があり、どこか期待しているような雰囲気すらあった。
そしてアイシアの開かれた陰部へ、蛇が侵入しようとする。その時、銃声と共にヘビーピストルの銃弾が蛇の頭部に命中する。
「貴様……」
悪魔はすぐにヘビーピストルの銃弾が飛んできた方向に視線を向けると、そこには倒れながらに腰に携帯していたヘビーピストルを撃ったムゲンの姿があった。
「勝手に一人でマスかいてるんじゃねえぞ山羊野郎!」
「言ったなあ! 人間風情が!」
ムゲンの言葉に激高した悪魔はアイシアの身体を床に置くと、倒れているムゲンに向き合うのだった。
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