第4話

 署に戻ると、蓮宮は若い刑事たちと談笑していた。

「おい! お前ら、職務中だぞ。あんたも、ここはカフェじゃないんだ。くつろいでいないで、自分の仕事をしたらどうなんだ?」

 五十嵐が呆れてそう言った。

「あら、刑事さんたちも私も、ちゃんと仕事してますよ。情報交換ですよ。彼らが得た情報と私の情報で、真実に近づいているんですからね」

 蓮宮は五十嵐に反論した。

「勝手なことをするなよ。こっちの情報は機密事項だぞ。お前ら、分かっているのか?」

 五十嵐に叱責され、ばつの悪そうな顔をする面々。

「まあ、そう、熱くなるなよ。俺が黙認した」

 コーヒー片手に五十嵐に近付く刑事、見た目は五十嵐と同年代。

「あんたが許可したんなら、仕方がないな」

 五十嵐も一目置く人物だ。

時任ときとうさん、珍しいじゃないですか」

 須藤は嬉しそうに言った。時任も刑事部だが、暴力団の事件を担当する部署に所属していた。今回の惨殺事件に、組員が関係していないかを調べていたようだった。

「しかし、人の所業とは思えねぇな」

 時任はぽつりと言った。

「そうでしょ? だから言っているじゃない。狼男の仕業なのよ、これは」

 蓮宮は水を得た魚のように、生き生きとしていた。

「五十嵐、面白い女を拾ったな」

 時任は笑いながらそう言って、部屋を出て行った。

「まったく、のん気なことを言いやがる」

 五十嵐も、旧友に久しぶりに会ったことを喜んでいるようで、口元が緩んでいた。

「ほら、お前ら、報告書をまとめろ。あんたもそろそろ帰ったらどうなんだ?」

「言われなくても帰りますよ。そしてまた、明日来ますからね」

 蓮宮はそう言って帰っていった。

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