【23/30】Q.恨みを買うことについて

 まあ、とにかく、怪我をすることはなるべく避けてるんですけど……。

 必ずしも、それが長期の生き残りにつながらない場合もあります。


 例えば、怪我を避けようとすると、ほかのプレイヤーを危険に晒すという場合ですね。

 そういうケースって、けっこうあるんですよ。地雷のたくさん埋まっている場所から脱出するゲームだとか、毒薬と治療薬を見分けないといけないゲームだとか……。

 どちらの場合も、他人に強要して先にやらせれば、ノーリスクでクリアできますよね。ナイフかなにかを突きつけて、おいお前やれよ、みたいな。

 でも、それはよくないんです。道義的にってことじゃなくて、戦略としてよくない。公平にじゃんけんでもして、リスクを負うプレイヤーを決めたほうがいいです。他人にリスクを押し付けるという形でのクリアは、やめておくのが賢明です。

 ほかのプレイヤーとの、禍根を残しますからね。


 私はまあ、これでも三十回近くのゲームをクリアしてるわけです。

 そのぐらいになると、顔見知りのプレイヤーもぽつぽつできてきます。九十九回の長丁場となると、一度出会ったプレイヤーに再会するってことも、けっこうあるんですよ。

 私がほかのプレイヤーを裏切り、ゲームをクリアしたとして……以降のゲームでその人と再会したらどうなるか。そりゃあ当然、いい顔はしてもらえませんよね。


 勝負の世界なんだから、文句は言いっこなしだと思いますか?

 確かに、そうかもしれません。私だって、恨みのあるプレイヤーはそれなりにいますけど……その人たちと再会したからって、いきなり殴りかかるような真似はしません。


 でも、いざっていうときに、効いてくるかもしれません。

 例えば、そのプレイヤーが深手を負ったとして……すぐに治療すれば助かるところを、あえてもたもたと治療する。そのプレイヤーが崖っぷちに手をかけているところで、手を伸ばして助けてあげない。あるいは、引っ張り上げようとはしてあげるけど、手が滑ったふりをして突き落とす。

 そういう形での報復が、起こらないとも限りません。


 サバイバル漫画なんかでよくある展開ですよね。普段から横柄な態度ばかりとっていた人が、極限状況に陥ったとき、誰にも助けてもらえないで命を落とす……。

 そういった極限状況が、ゲームにおいては頻繁に起こるんです。

 なので、下手に恨みを買うようなプレイは、避けたいです。

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