【22/30】Q.〈キャンドルウッズ〉の話

〈キャンドルウッズ〉の話を……しますか。


 プレイヤーの間では、かなり有名なゲームです。

 巨大迷路が舞台の、対戦型でした。プレイヤーは〈うさぎ〉陣営と〈切り株〉陣営に分かれて……私は〈うさぎ〉のほうだったんですけどね。バニースーツを着て。それで、〈切り株〉に殺されないよう逃げ回るんです。

〈うさぎ〉のほうは一定期間生き残ればゲームクリア。〈切り株〉のほうは、その間に一定数の〈うさぎ〉を殺害すればゲームクリア。かなりシンプルなルールですね。


 どうしてこのゲームが有名なのかというと、参加人数が多かったんです。

〈うさぎ〉が三百人。〈切り株〉が三十人。合計三百三十人ものプレイヤーが出場していました。私がこれまでに参加した中では……いや……私の知る限りにおいても、最大規模のゲームでしたね。

 ゲーム自体が一筋縄ではいかなかったこととも合わせて、プレイヤーの間で語り種になってます。


 ただ有名なだけじゃなく、私個人にとっても、かなり重要な意味があるゲームでした。

 この前、きつかったゲームの話をしたときには、あえて候補から外したんですけど……あそこで挙げたゲームとは比較にならないほど、しんどいものがありました。

 ここでするような話でもないので、詳細はあえて伏せますが……。〈キャンドルウッズ〉に参加してなかったら、今の私もなかったと思います。そのぐらい、衝撃的なゲームでした。


 まあ、とにかく、このゲームで私は右目をやられたわけです。

 とあるプレイヤーと戦っている最中、気を抜いてしまいまして。ナイフでざっくりといかれました。視力に影響が出なかったのは不幸中の幸いでしたけど……注意すれば避けられたはずの怪我ですからね。鏡を見るたび、今でも悔やんでいます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る