【1/30】Q.どうしてゲームに参加したのか

 最初はまあ、お金欲しさです。

 当時の私、アルバイトを転々として食い繋いでたんですよね。慢性的にお金がなくて。それでまあ、エージェントさんに……今カメラ回してるのとはまた別の人だったんですけど、とにかく運営の人にスカウトされて。それでゲームに参加しました。


 お金欲しさに命を賭けたのかって? いや、確かそのときは……そうそう、ただの〈ゲーム〉としか説明されなかったんですよ。一攫千金のゲームがあるから参加しないか、みたいな口ぶりで。

 だって普通、そんなの説明しないじゃないですか。したら参加してくれるわけないですし。私のほうも、まさか命を張るようなゲームだとは思いませんよね。テレビの企画かなんかかな、と普通は思うわけで。〈殺人〉の二文字が頭についているとは予想外ですよ。

 ええ。半分騙されて、みたいな感じでしたね。



 確か、アスレチック場が舞台のゲームでした。

 体操服を着せられてね、アスレチックをやらされるんですよ。びっしりと剣山が生えている上を、丸太から丸太に飛び移っていって、足を滑らせたら串刺し……みたいな。そういうのが何個もあるゲームでした。

 とんでもない目に遭わされましたけど、幸か不幸か、ゲームの才能が私にはあったみたいで。なんとかクリアできました。

 それでまあ、無事賞金を持って帰れたわけですけど……問題はここからですよね。その一回でやめなかったんですよ、私。もちろんそのころには、殺人ゲームだってことには気づいてましたよ? でもやめなかった。そのまま現在に至るまで、プレイヤーを続けてます。

 

 まあ、これでもいいかな、と思ったんですよね。

 命を賭けているだけあって、そこそこ実入りはよかったですし。これで生きてくのもありかな、と思ったんですよ。何回も続けてたらどっかで死んじゃうだろうけど、そのときは本物の幽霊になるだけだからいいや、なんて考えてました。


 当時の私、そのぐらいぼんやりしてたんですよ。

 私に限らず、みんなそうじゃありません? 人生一度は一旗あげてやろうだとか、二十四時間戦えますかとか、そういう空気ってもうないですよね。そしたらもう、ぼんやりするしかないじゃないですか。ふらふらっと生きて、なんか向いてそうなの見つかったからこれでいいや、みたいな。そんな気持ちでした。


 今は違うんですけどね。さすがに二十七回目ともなれば、もう少し健全な気持ちで取り組んでますけど。そういう時期もあったということで、ここはひとつ。

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