親戚づきあい


 ヴァルベック辺境伯家の平均年収が平均的な伯爵家の年収を超えました。


 『グレートローズヒップ』は毎日300ランドの売り上げ、年間19万5千ランドになります。

 これで塩の収入も加算すれば310.3733万ランド♪


 ヴァルベック辺境伯&ナーエ伯たる我が家も、かなり余裕が出てきました。


 近頃は帝国出身愛人さん三人の、傾きかけたご実家、ローズ準男爵家、ビンガム騎士爵家、カー騎士爵家に、それとなく援助をしています。

 愛人さんのお取り寄せを使って、見えないところで援助するように、お願いしているのです。

 なんせ菓子パンの件で、身に沁みましたからね。


 そうはいっても、我が家がそれとなく援助していることは、分かるでしょうからね、平均年収が平均的な伯爵家になった時点で、援助を知られてもおかしくはない話……


 それにこの間から、70円までの物なら無制限に取り寄せられます、食事とかは全て取り寄せし、浮いたお金をその他の経費に回してもらっています。

 毎日100円のものは10個まで大丈夫ですので、毎日取り寄せ備蓄して、月に一回の里帰りにこれを渡してもらっているのです。

 

 渡す相手はお母様ですよ、なんせ三人のご実家のお父様は、娘を売るはめになった問題をとがめられ、引退をさせられています。

 特にカー騎士爵家では、妻であるお母様が女戸主として、幼い息子が成人するまでご実家を守っておられるようなのです。


 そうそう、エルダさんのご実家、デッセル伯爵家には、なんとかご挨拶に伺い、勘当を解いていただきました。

 デッセル伯爵は心底お怒りでしたが、エルダさんと一緒にヒロさんが頭を下げ、デッセル伯爵夫人が掻き口説いて、何とかお怒りを解いていただいたのです。

 以来、エルダさん、せっせと手土産をもってご機嫌伺い、そこはね、男は娘に甘いわけです。


 デッセル伯爵、この間、我が家に寄られたのですよ。

 私、幸いにオルデンブルグの館にいたのです。


「チョット前を通っただけだ、エルダは元気にしておるか?」

「元気です、呼びましょう」

「いや、それには及ばぬ、元気ならそれでよい」 


「……ナーエ伯爵、礼をいう、エルダには母親に顔を見せよと伝えておいてくれ」


 いうだけ言ったら、帰られました。


 まったく不器用な方ですね……


 フルーダさんのご実家、コール男爵家には、皇帝陛下にお願いして虚偽報告を不問にしていただき、弟さんの病気はヒロさんが治療魔法を使って治療したようです。

 コール男爵夫妻がお礼にこられました。


 あと、カリス姉妹のご実家ですが、ここは家名が断絶、ご両親は自決ですからね……

 ただ叔母さんが、王国のフロック男爵家に嫁がれており、時々手土産をもってご挨拶に伺っておられるようです。

 この叔母さん、極めて腰の軽い方で、時々リンデンハイムの館に顔を出されます。


 とにかくですね、肩身の狭い思いはさせないように、何かと気を配っているヒロさんです。

 そう云う訳で、皆さん、ヒロさんへのご奉仕にさらに熱が入っているわけです。


 マーガレットさんのお父様、ドロア侯爵は良く顔を出されます。

 国王陛下の了承をいただき、侯爵には私の力を知らせております。

 お母様はご存知でしたが、侯爵には初めて知らせました。


「そうか!婿殿は『神の使徒』なのか!」

「お父様、このたび国王陛下のお許しをいただき、やっとお話しできました」

「マーガレットよ、構わぬよ、『神の使徒』とは思わなんだが、薄々は婿殿は何か違うとは感じていたのだ、特にあの『パン』の事で確信したのだが、陛下がなにもおっしゃらないので胸に閉まっていたのだ」


「この度、アイリス第一王妃様から、オリビア夫人を『親睦会』のメンバーに迎えても良いとのお言葉をいただき、他の方々もご了承いただきました」

オリビアというのがマーガレットさんのお母様のお名前です。  


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