裸の付き合い


 『天空温泉』は日が沈み始めていました。

 ドアを開くと洞窟の中……

 

「ほう、洞窟の中か」

「いま明かりを用意いたします」


 税抜き1,273円のジャバラのフローティングタイプ、単三使用のランタンを渡しました。

 口座には、かなりお給料がたまっておりますのでね。 


「これは浮きますので、お好き所を照らしてください」

「湯船は玄関先になっております、深さは膝ぐらいですが湯温は少し熱いかもしれません」

「そうか、では気を付けて入るとしよう」


「おっ、先は外につながっておるようだな」

 国王陛下、さっそく露天の方へ泳がれます。


「国王陛下、風呂で泳ぐとしんどいですよ」


「おっ、これは凄い!地獄の口が開いておるぞ!」


 皇帝陛下も続いて、

「確かに美しいが、凄絶というべき光景だな……今度はゆっくりと昼間に見てみたいぞ……還らずの荒野を眼下に出来るとはな……」


 国王陛下が、

「ここは雨でも大丈夫なのだな、最初の温泉が雨でも、ここなら入浴可能だな♪」

「ヒロ殿、冷たいビールを無心したいが」


「そうですね♪私も嫌いではありませんし♪」


 『麦●ホップ』というもの、これ評判がよさそうです。

 350ml缶で税抜き、と言っても消費税を抜いた物なら、120円ぐらいで取り寄せられます。 


 いま私、130円までなら無制限ですからね♪

 税込みなら142円まで、OKなわけです♪


「こちらもどうですか?少し小さいですけど」


 『ブ●ック●●● ハイボール』、3ケース72本を買うと税抜きなら126円でありました。

 まあ250ml缶ですけどね。


 風呂の中ですから、つまみなどはありませんが、三人で奥さんの話なんてね。


「クレアがそんなことを言っていたと?」

「はい」

「母親にますます似てくるの……」


 国王陛下がそんなことを言っていると、皇帝陛下が笑いながら、

「婿殿よ、同情するぞ、いよいよ余の仲間だな♪」


「そうですね、これからは妻の愚痴をこぼす夫になるのでしょうね……私の妻たちは賢妻ですが尻も大きそうですし……」


 皇帝陛下が、

「六人も尻の大きな妻を持つからよ、余は妻は二人で辟易していて、あとは愛人よ」


 国王陛下が、

「しかし、二番目の妻、ヒルダはおとなしそうだが?」

「どうしてどうして、ヒルダはクリスティーネよりも『尻がでかい』わけよ、黙って批判するのだぞ」


「それはたまらんな、うちは二人とも口が達者で、まず口論では打ち負かされる」

「二人の王妃がつるむのか?」

「そうよ、たまらんぞ」


「互いに苦労するの」

「こうして妻への愚痴仲間が皇帝とはな、近頃は同志とまで思うぞ」


 両陛下、笑いながらこんな話をされておられます。


「まあ、ここにさらに不幸な男がおる、他人の不幸は蜜の味、まあ、頑張れ、婿殿」

「国王陛下、ご自分の娘の話なのですが……」

 

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