かかあ天下になりそうな……

 

 国王陛下が、

「話は変わるが『グレートローズヒップ』という事は、ローズ・プラトーを調べたのか?」


「塩の話の時、自分の領地を調べていて『グレートローズヒップ』がなってることが分かったのです」

「小さい女子修道院が、バラに埋もれて残っていました」

「そうか……その女子修道院にはたしか温泉が湧いていたと伝えられているのだが……」

「温泉ですか?すこしお待ちください、調べてみますから」


 ヘルプで調べると……


「確かにありますが、今は埋もれておりますね……」

「そうか、残念だな……」


「その修道院、修復するのか?」

「どうしようか思案しておりましたが、温泉があるなら修復しようかと……」


「それと温泉なら、新しい温泉を見つけましたよ、還らずの荒野の南側の山並み、その一番高い峰の直下の台地、還らずの荒野側に向かって洞窟があり、そこから湧いておりました、還らずの荒野が眼下に眺められます」

「ここは私どもは『楽園温泉』と名付けておりますが、新しい温泉は『天空温泉』と呼んでおります」


「調べてみますと、還らずの荒野に住む魔物はこの温泉の高さまでは来れないようで、夜でも大丈夫です、眼下には溶岩湖が見えますので夜の闇の中に赤い口がポッと浮かび上がり、青白いガスが踊っているのがはっきりと見えます、美しいですがいささか怖いですよ」


 皇帝陛下が、

「ナーエ伯爵領には湧いておらぬか」

「それが岩盤浴なら可能の場所があります」

「岩盤浴?」


「かなり珍しい『北投石』という岩があり、その下をかなり高温の蒸気が温めているようなのです、蓆やタオルをその上に敷いて、寝るわけです」

「すると『北投石』から発せられる有用成分と、遠赤外線という体の内部まで温める熱の為に、汗が大量に出ます」

「体に蓄積されていた老廃物が、汗と共に出るわけです」


「その場所には水場は一切ありませんので、『部屋』の風呂場で、水風呂を浴びるなり、シャワーを使うなりすればよいわけです」

「サウナみたいなものか?」

「それほど苦しくはありませんよ」


「一度入ってみたいが、構わぬか?」

 皇帝陛下、興味津々、なんせ帝国領の温泉?ですからね。


 国王陛下も頷かれますが……


「温泉ですから、1か所当たり半日ぐらいはお時間を取られたほうが良いかと考えますが?」

「そうよの……皇帝よ、儂は明後日の三時ぐらいからなら予定が空くのだが?」


「ふむ、明後日か……余はその日は五時からならあいている……」

「一月先なら、一日ぐらいの休暇ならねじ込める、国王はどうか?」

「一月先か……一日ぐらいなら何とかなるだろう……」


「なら、明日の五時から夜景が美しいという『天空温泉』、一月先は第三日曜日という事で調整しないか?その日が雨ならここでのんびりせぬか?」

「そうだな、一月先なら、なんとかなろうから毎月そうするか♪」


 結局、両陛下を午後五時にご招待、何でもクレアさんもエバさんも遠慮させて、私が案内することになったようです。


「怪しいわ!お母様も私も同行させず、ヒロ様だけなんて!」

 エバさんが抗議してくれましたが、多分男同士で馬鹿話なんてしたいのでしょうね。


「本当、きっと私たちの悪口で憂さ晴らしなのよ、アイリス王妃様が笑っておられたわ」

「お母様にいわすと、娘も嫁に行ったら妻と一緒の分類、男にとっては口うるさい、煙たい存在らしいわ」

 クレアさん、あまりマリア様とアイリス様の薫陶を受けないでくれませんかね……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る