スフィアゲート

第18話 旧友との戦闘

「おい！リュウジ！お前は後衛を護れ！俺は…こいつをやる！！！」

「御意！」

「さて…こりゃ一体どういう冗談だ？いつもヘラヘラしてるお前にしてもこれは許せねえぜ。」

「これは冗談でも裏切りでもない。僕は最初から魔族側の人間だからね」

「なんだと……！！」

「だから魔族討伐を進める君たちが邪魔になった…ので、排除に来たわけだよ。」

「ふざっけんなぁぁ！！」

前衛で剣戟の音が弾く中、後衛では、茫然とするさよと花、それを護るリュウジ。

「さよ殿！こうなった以上は迷いを捨て…グッ」

「ああっ…さよさん！リュウジさんが毒矢を…回復…きゃあっ！？」

「花ちゃん！？ど、どうしよう…どうしたら…」

このままでは壊滅は必至だ。この場はさよにかかっている…

とりあえず、結界を張って、二人を敵から遮りつつ、リュウジの毒を魔法で癒す。

「…かたじけない。」

しかし、後衛の周りを飛び回る魔族は速度が速い。リュウジには厳しい相手だった。

「こうなったら…全力で行きましょう！！」

「え…さよさん、まさか…」

「…それしかないだろうな。」

「リュウジさんまで！！」

ザンッ。リュウジが槍を地面に刺し、マナを集める。

「竜よ！拙者に力を！！」

すると、リュウジに翼が生え、これまでとは比較にならない速度で飛行できるようになった。

後ろでは、さよが

「神よ…私に、力を…！！」

聖なる光が、魔族の動きを鈍らせる。

二人が発動したのは、タクティカルアビリティ。短時間だが、とてつもない能力を発揮することができる。だが、身体への負担も大きい諸刃の剣である。

さよの光は前衛の祐にも届き…

「なにっ、あの小娘が…ハッ！」

「隙あり、だぜ。」

ザシュウウウウ！！

「グアアアアアア！！」

祐は月詠の一太刀により、地に堕ちた。

後衛の方はさよとリュウジの全力攻撃で難なく状況終了していた、が…。

「さよさん！さよさん！！」

花が泣きながらぐったりしてるさよを介抱していた。

「っと。お疲れさん。全員、よくやったな。さよは…おそらく、タクティカルアビリティを使ったことがなかったんだろう。反動…だろうな。」

「そ、そんな…さよさん…！」

「大丈夫だ、死にはしねぇよ。花は先にホームにさよを連れて行ってやってくれ。…出来るな？」

「…！は、はい！お二人も、お気をつけて…」

「ハハッ、誰に言ってんだ」

ホームに何事もなく着いた二人。

すぐにベッドにさよを寝かせて、介抱する花。

「もう…頑張りすぎですよ…さよさ…ん…」

緊張の糸が切れたのか、花まで眠ってしまった。

「…花ちゃんもお疲れ様。」

途中から寝たふりしていた花の頭を撫でてあげるさよなのであった。