第17話 暗雲の兆し

「うぅ…頭いてぇ…」

「月詠さんは飲みすぎです!はい、お水」

「悪いな」


「月詠殿」

「なんだ?リュウジ」

「祐殿の姿が見えないのだが…」

「どーせまたよくわからん事してるんだろ。ほっとけ」


「ねぇねぇ花ちゃん」

「どうしたんですか?さよさん。あれ、リュックは?まさか…」

「いやあ~昨日のお祭りで皆に大好評で~あれ!私もアレ飽きちゃったし、何かほかに面白い食べ物…知ってる?」

「…さよさんはこの世界に食い倒れに来てるのです?」


「よーし、じゃあ出発すっか」

「あれ?祐さん探さなくてもいいのですか?」

「探さんでもいつもの如くヒョッコリ向こうから現れんだろ。」



「今回の目的地はここのダンジョンだ。」

月詠が地図を広げてトントンと指さす。

「ま、抜けた穴はあるが、それでも十分攻略できる難易度だと、俺は思っている。お前ら、気合入れろよ!」

「花ちゃん、これ美味しくない…」

「えぇー」

「………。」



「お、開いてるな」

「開いてる…って?」

さよが月詠に問う。

「ここのダンジョンの入り口はちょっと特殊でな。…俺達の前に誰かが入ったらしい。…不味いな」

「え?」

「俺たちがここに来たのも、次の目的地で使うための物を取りに来たんだ。」

「じゃあ、もし目的が一緒だったら……」


一行に緊張が走る。

「ま、譲りはしねーけどな。ほら、怖気づいてないで行くぞお前ら」

順々にダンジョンに入っていくメンバー達。


次の瞬間。

「おっと」

ダンジョンに入った月詠に向かって攻撃魔法が飛び…月詠はさらりと避けるが。


「やっぱこうなるか。お前ら、構えろ。敵襲だ。」

「で、でも…あれって…」


「そうだなァ…敵襲っつーより、裏切りっていうのか?なぁ。」




「答えろよ、祐!!」


「ククッ。」

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