第15話 帰ろう、家へ。

どざっ…と銀貨袋を持ってきたさよ。

「これだけあれば、足りますかね?」

「んなっ…」

「ええっ!?」


鉄のインゴッドを叩いていた二人は絶句した。

どうやら、知らない間に討伐依頼されていたモンスターの希少種を狩ってきたようで、報酬がとんでもなく上乗せされてきたのだ。


「こいつぁすげぇな…俺達の給料一か月分の銀貨だ。俺も冒険者になろうかな…。」

「はわわ、すごいです~。」

(…日本円の価値がわからない外人の気分だけど、まぁいっか。)


「花ちゃん~、一緒に世界一周旅行しちゃう~?」

「それはとても楽しそうですけど…目的、忘れてません?」

「うそうそ。じゃあ、家、帰ろうか。あの、お世話になりました!」

「おう、気を付けてな。」



「花ちゃん!もう少しで列車出ちゃうって!」

「あわわわわ、待ってください~、旅の準備をしていたら遅くなっちゃって…」


「すべりこみせーふっ」

<駆け込み乗車にはご注意ください。>

「怒られちゃった…」

「まぁまぁ。よくある事だよ!座ろ?」


「もぐもぐもぐもぐ。これおいしー」

「さよさん、その保存食、本当に好きですね…」

「3D買っちゃった、てへ!」

「どーりでいつも鞄ちっちゃいさよさんがリュック背負ってるんですね……」



列車を降りてからは馬車をレンタル。何事もない旅路だった。

そして……


「着いたぁーー!!」

ギルドホームのある街に無事帰ってこれた二人。

早速家に…って見覚えのある赤髪の男の人の後ろ姿が。えっ?まさか…


「月詠…さん…?」

「おう、遅かったじゃねえか」

(怒ってるよね…)

振り向いた月詠は…笑っていた。

「ま、そっちも色々あっただろうが…生きてて何よりだぜ」

「そちらの3人も無事…ですよね?」

「あぁ、傷口から毒貰ったり、軽い流行病にかかったりはしたけどな」

「ダメじゃないですか!!」

「そーゆーこと」

「え?」



「やっぱ、お前らいねーとダメだわ」


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