第11話 この手は離さない

さよと花はとりあえず、街で一番情報もありそうな図書館へ向かった。


「ん~…」

「どうしました?さよさん」

(異世界文字が読めない…なんて今更言えない…)「は、花ちゃんは収穫あった?」

「だめです~、広すぎて目的の本がさっぱりです……。」


その時。

「あら、何をお探しで?」

「あ、あのっ…突然すみません。異邦人についてわかる本があったら…」

「本なんて無くてもわかるわよ」

「えっ??」

「私が…その異邦人ですから。」

「ええっ!!」


「そんなに驚く事じゃないわ。この世界で異邦人なんて、言わないだけで実は結構居るのよ。」

「そ、そうなんですね…」

「それであの…元の世界に戻れる方法とか…って…」

「もちろんあるわよ」

「!!」



図書館の上階、ちょっと怪しげな祭壇があり、その真ん中には大きな鏡があった。

「ここよ。」

「こんなところが…」

「この鏡によーく念じて。異世界に来る前の自分をね。」

「あの…私はさよさんの世界を知らないのですが…」

「ならこうするのよ」


謎の異邦人は、さよと花の手を繋がせた。

「いい?ぜっったいにその手は、何があっても離しちゃ駄目よ。最悪の場合、どちらの世界にも戻れなくなる。」

「はい…!」

「すーはーすーはー…さよさん、私はいつでも…!」

「大丈夫だよ、花ちゃん。絶対一緒に連れて行くから…!」


そう言い、鏡に向かい、念じ始める二人…。

程なくして、二人は、鏡に吸い込まれていった…。


時空の狭間は、とてつもない荒波のよう。

「花ちゃん!」

「さよさ…ん…!」

手が離れそうになる。だったら!


さよは花を引き寄せた。

二人は抱き合い、そのまま世界線を超えていくのだった。

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