40話 最強の殺し屋が告白されて!?
それから、零が呼び出される日が多くなり、何かをやらされる日々が続いた。だが、零が殺される心配はないだろう。零を俺の知らないところで殺してしまったら俺を殺すことがほぼ不可能になってしまう。まぁ、俺としても殺されるつもりなんて無くなったわけだが、ずっと考えていたことがある。
「……小百合に勝つって言ったってどうすれば良いんだ?」
逃げようと思えばこの組織から零を連れて逃げることだってできるだろう。ただ、監視の目が多すぎて難しいだろう。それに、今逃げたところですぐに追いつかれてしまう。そうなると、俺が殺される日を待ってその時に最後の戦いを仕掛けた方が良いだろう。どうせ後戻りもできないし小百合と戦わなければならないことは確定事項なのだ。それに、俺には秘策がある。負けるつもりなんて毛頭ない。
と、そんなことを考えていると、部屋に零が戻ってきた。
「何をやらされてるんだ?」
「ん〜、仕事の手伝いをさせられてるだけだよ?」
なんか妙なことをさせられているのかと心配していたため、少しだけ安堵した。
「そういえば一縷って私のこと愛す権利がないからって言ってたけど、私が許したんだから私のこと愛す権利あるんだよね?」
「……多分そうだが……どうかしたのか?」
すると零はにっこりと笑った。
「だったら私の恋人になってよ!」
「………はい?」
突然そんなことを言い出す零に俺は思わず聞き返してしまった。多分聞き間違いだと思う。
「何て?聞き取れなかった。」
「だからぁ!恋人になってよって言ってるの!」
聞き間違いではなかった。ふむ。零は俺のことが大好きで、俺も零のことが大好きだと。しばらく考えているうちに、段々とある考えが浮かび上がってきた。あれ、これ恋人になっても良いんじゃない?
「………確かに恋人になっても隔てるものは何もなくなったわけだが……。」
そう言うとめちゃくちゃテンションが上がり始める零。そんなに嬉しいのか。
「でしょ!だったらなろうよ!」
零と恋仲になれたらさぞ幸せだろう。想像するだけでわかる。でも、それは今考えることではないのだ。なんせ今俺たちは監視されながら生活しているし、何より俺の命が狙われている状況だからだ。
「……まぁ、その件については保留ってことで。今はそんなこと考えている場合じゃないからな。」
するとムッとした表情をする零。まぁ、気持ちはわからなくもないぞ。相思相愛なのも確認済みなのに付き合えないのはもどかしさが残るからな。すると、またもやパッとした表情になる零。今度は何を考えついたと言うのやら。
「一縷ってもう私を拒絶する意味が無くなったわけじゃん?」
「まぁ、そう言うことになるけど……何を言うつもりだ?」
「ふふん!だったら一緒のベッドでもねれるね!拒絶しないんでしょ?」
そう問われ、俺は考える。確かに俺が零を拒絶する理由はなくなり、なんなら受け入れても良い風になったのだが、同じベッドで寝るとなるとそれはまた別の問題が発生しそうだ。ちなみに言うと零は未成年。17歳で俺は21歳だ。未成年だと言うのに不埒なことを起こしてしまったら俺は責任が取れない。だから俺は同じベッドで寝るのは反対だ。たが、こう考えると俺と零って4歳しか歳の差ないんだな。意外にも結婚したりしたら良い感じになりそうだ…………て、俺は何を考えているんだ。急いで俺はその思考を捨てた。
「………なんで顔赤くなってるの?もしかして私とナニかした時のことを想像しちゃったりした?」
「ハハッ。ぶっ飛ばすぞお前。俺はそんな変態じゃない。未成年の体なんかに欲情したりしないぞ俺は。」
「そう言いながらも私の胸に顔埋めて泣きじゃくってたのはどこの誰でしょうか?」
「そいつはとんでもないやつだな。」
「いや一縷だよ………。」
恥ずかしいから切実にあの時のことを話題に出さたいでほしかった。いやほんと、最強って言われたことがある男が年下の女に泣きついてるって、側から見たらやばいだろマジで。あ〜本当にこの部屋に監視カメラがなくて良かった。外で盗み聞きされてるかもしれないけど気配は感じなかったし多分平気……なはずだ。
「ただ……そう考えると……お前と生活するのも楽しくなりそうだな。」
「いきなりどしたの?頭打った?」
俺が普段言わないセリフを言ったからだろうが、少しだけ困惑する零。だが、俺は本心を述べたまでだ。この後小百合を倒して命を狙われなくなった後、零と2人で幸せに過ごせたらどれほど良いだろうと。そう言うことばかり考えてしまう。だからこそ、小百合との戦いで負けることはできないわけだ。それに、俺はこの間零だけでなく香純と紫苑も守るって誓ったからな。小百合はあの2人を殺さないって言ってたし多分平気だろう。
「……いや、打ってないし平気だよ。負けられないなって思っただけさ。」
すると零は俺の方を見て微笑んだ。
「無責任かもしれないけど、頑張ってね?私も一縷とまた暮らしたいから!」
「……あぁ、わかってるよ。」
俺は零の頭を撫でながら、そう言葉を返すのだった。
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