第8話 初めての道テイム、終了
ディスプレイのブラウザを幾つも表示した様に、俺の視界にパンツが映る。
うっひょー、この絶景たまんねー
【理解して下さい。ロードロード、それが貴方の本性です。貴方は、すけべだ】
黙れ小賢者、建前と本音ってのがあんだよ。本音が美少女パンツ好きでもそれを言ったらいけないのさ。というより、闇の空間でのお前とちょっと口調違うよね?
【私はあれの一部。本体ではないので、言語能力は低いです】
本体よりお前のが丁寧後なんだな……ま、いいや。
俺は満タンになったエナジーを感じ、更なる道テイムを行おうとした。石畳以外も『道テイム』できるのではないかと考えたのだ。すると。
【スキル練度が上がりました】
どうやらスキルを使えば上がっていくらしい。具体的に何がどうなるのだろうか。
俺は道テイムを更に使用し、その真価を知りたくなる。
体から離れた石畳を道テイムしようとしたが、出来なかった。
【石畳ですが、接触している部分がありません。道テイムは連結していなければ、使用不可です。ただし、スキル練度の向上や意識を向けたりすれば解決は可能です】
どうやら道テイムは俺の体に直接触れてる必要があるようだ。
この石畳の整備が途切れているから道テイムができないらしい。仕方が無い。
ずっとこのまま、美少女パンツを眺めていたい……が、レギンが俺に声をかけてくる。
「道、もう充分だぞ」
石畳の整備が終わった以上、ここにいつまでもいると何かと疑われるだろう。仕事は終わってしまったのだ。用がない場所にずっといると怪しまれるのは間違いない。
怪しまれれば俺が美少女パンツを見て喜ぶ奴だと誤解されてしまうではないか。
そんな変態の誹りを受けるつもりなどない。
だがもう少し堪能したい……俺は変態ではないが、仕事に見合った成果を受け取るのは当然だと思ってる。社会のあるべき姿と言っても良い。
信賞必罰、もはやご飯もいらないだろう俺の体。だがエナジーは必要なのだ。
やむにやまれぬ事情、情状酌量の余地しかない仕様。つまり、パンツを眺めるのは正義でしかない。
俺は正義の思うままにレギンに返答する。
「そうだな、少し疲れた。あと十分したら運んでくれ」
これは不自然な物言いじゃないはずだ。疲れたら休憩して当然。俺はあと十分、パンツ見放題になれる。
「分かった」
聞き分けのいい笑顔のレギン。優しいわ。ごめんな、俺は嘘付きだ。本当はパンツを見て元気一杯だぜ。怪しまれない為に疲れたと言ってるだけだ。
「頑張ったな」
レギンは、俺の体をよしよしと撫でてきた。
「!?」
「これだけのスキルだ。きっと疲れただろ。大丈夫か?」
パンツを見るのとは違う幸福感が俺に湧き起こる。なんだ、この気持ちは。胸にふと温かい気持ちが起こる。それは俺が体験したことがないと思う程の幸せだった。
な、なんだこの気持ち。
「ふふふ、ロードロード。これからもよろしくな」
可憐な笑顔が俺の胸に、頭に、心に、入り込んでくる。
……レギンがこれだけの笑顔をむけてくれるなら、もうちょっと頑張ろうかな、とか思えてくる。
魔王軍、入ろうかな……。真剣に、考えとこう。
十分ほど体感で経って、俺は『道テイム』を解除する。光芒が石畳から消えて行く。
「よし、この辺りの石畳は全部『道テイム』で整備した。もう大丈夫だ」
「道、本当にありがとな。魔王軍の一員として感謝させて貰う」
レギンは拳を胸の中央に当てて俺に一礼する。すると、ケンタウロス族のブーケがやって来た。
凄まじい速さで疾駆し、石畳の上を駆け巡っている。
「わぁあああ、何ですか、この石畳!」
ブーケは目をきらきらさせて驚いている。そんなに嬉しいのだろうか? 石畳に目を光らせる美少女とか見たこと無い。人形とか花とかバッグとかに女なら心を動かすのでは無いだろうか。
レギンは俺を指差し、ブーケに話しかける。
「ロードロードの力だ。改めて紹介するよ。名前はロードロード・ドーロードで、種族は道(ゴースト)」
「えぇ!? その方、ゴーストなんですか?」
「そうらしい。魔力を込めなくても触れるのにな」
「というか、種族が道って聞いたことないです」
「あたしもそう思う」
驚くブーケにレギンはうんうんと頷く。というか、この世界は魔力を込めればゴーストを触れるのか。
「ロードロードは、ただのコンクリートの塊じゃない。あらゆる道を整備する特殊な力の持ち主なんだ」
「凄い! 私達ケンタウロス族と相性良さそうな力ですね!」
「そうだな。きっと魔王軍の力になる凄い魔物だ。……で、ロードロード、こちらがブーケ」
レギンは手をブーケに向けて、ブーケは俺に明るく自己紹介する。
「改めてよろしくお願いします。ロードロードさん。ケンタウロス族のブーケです!」
この子も可愛いなぁ。
「期待の新人、ですね。ありがとう、ロードロードさん!」
人じゃないけどな、ははは。
「何、任されたことを一仕事してみただけさ」
「キザなんですね」
「……」
確かに、ちょっとかっこつけたのは否めない。
「ふふふ、ありがとうございます」
ブーケめ、笑顔で尻尾をフリフリしやがって。っち、可愛いな。誘ってるのかこいつ。
「ロードロードさん、大好きです」
満面の笑顔を俺に向けてくるブーケ。ぶっちゃけ俺に美少女に対する耐性はない。ちょっと挙動不審気味に答える。
「べ、別に、嬉しくなんか……あるけど」
「ありがとうございます!」
っく、健全な笑顔を向けられて嬉しい!
ありがとうと言ってくれて俺も嬉しい。
「皆が働きやすくなりました! 私、魔王様に道さんのこと感謝しておきます」
ブーケちゃんは一礼すると、一瞬で石畳の上を駆けていった。
見たい……そのパンツを。
だが、俺は気付く。パンツが見れない。
テイム解除したら、道の上を見えなくなるのか……。当たり前と言えば当たり前だ。しかし、
今更石畳が発光したらレギンが俺を怪しむかもしれない。
ブーケ、待ってろよ……お前の美少女パンツ、ふりふりしたスカートの中を必ず見てやるからな!
絶体に俺はもう一度お前らのパンツを見てやるからな!
あいるびーばっく!
「ちなみにロードロード。ブーケはあの歳で魔王軍序列三位だ」
「凄い奴なんだな」
「あぁ。あたしが六位で、エルフ族のスレイブいただろ? あいつが七位だ」
そんな大物だったのか、この美少女達。
「じゃ、帰るぞ。もう帰宅時刻だし、集合命令はかかってないからな」
俺はレギンに連れられて、広場を去った。
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