第9話 シューティングでシュール

 青空に綿飴のような雲が流れるー。


 パンッパンッ!

 ブローバックの音が会社の屋上に響いている。


 アタチはグロックにドットサイトを乗せて灰皿シューティングに没頭している。時間を計っているわけでは無いが“もっと早く!”と何度も繰り返し撃ち続けている。


 会長が射撃練習している周りをドローンを使って撮影している。

「会長!気が散りますよ!」

「いかん!こんな事で気が散っていては敵に撃ち勝てないぞ!」

「あ!?は、はい。ごめんなさい」

「続けるんだ!ジョー!」

「はい!」

アタチはドローンの音を気にしないように射撃を続けた。


 昨日、例の交差点に行って装備を見て回った。格好いい装備がたくさんあったけどアレを着こなすためにはまず立ち回りが格好よくないと装備が浮いてしまうと思って給料日までひたすら練習することにしたのだ。


「次!カービンでの射撃!!」

「はい!」

「電動ガンでもリアカンでな!」

「はい!」

アタチは会長の指導を受けながら午前中に営業回りして午後から射撃練習をしている。銃、BB弾、ガス、シューティンググラス、ファーストラインをロッカーに入れている。


 サツキが目を真っ赤に腫らして近付いてきた。


“うわ!コイツも男に振られたとか言いそう…”


「センパァイ~聞いて下さいよぉ」

“やはり、そうきたか!”

「彼氏がぁ~男を連れ込んでたんですよぁ~」

「ん?」

「彼氏が!選りに選ってオトコを連れ込んでたんですよ!」

「え!?」

「男に彼氏を取られたんですよ!まじでボコボコにしたい!!!」

「ぷっ!!彼を男に取られたのかぁ~」

「信じられないですぅ!」

「笑えるね!」

アタチはグロックにマガジンを装填しながら笑った。会長はポカンとしている。


 孫娘が彼氏を男に取られたという現実を受け入れられないと言う顔をして青空を見上げている。


 シュールー。


つづく

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