第8話 さいえっとまとかる

 イスラエルの特殊部隊をイメージしているらしいー。


 彼は一人でセーフティの隅っこに座っていた。

「そのプレキャリはLBXですか?」

「はい~!大きいから浮いちゃうんですけどね」

「確か小さいサイズも在ったような…」

「そうなんですね!アキバ行かなきゃですな!お兄さんはどこのお店よく行くんですか?」

「例の交差点の対面とか…御徒町とかですね」

「御徒町はアタチもよく行きますよ!」

「中田商店が昔から好きなんですよ。今日の装備は靴だけですけどね」

「アタチも中田商店は大好きですよ」

ふと彼を見るとアタチを見つめている…

「お友達が探してますよ」


…かと思った。


 彼はアタチの背後を指差していた。

 サツキがキョロキョロウロウロしていたからアタチは彼に頭を下げてサツキの方へ走った。


「先輩!ナンパされないから逆ナンですか?」

「違うわい!!さっき完璧に後ろ取られて更に痛くないところを狙ってくれて、アタチが気付いてシチュエーションヒットするまで待ってくれたから!凄いなって思って声掛けたの!」

「それナンパですよ!」

「え?」

サツキはニヤニヤして離れた彼に手を振っている。彼も軽く頭を下げていた。

 アタチは何故か恥ずかしくなった。


 帰り際にサツキに男の子達が群がって連絡先やSNS等を交換しあっているのを余所にアタチは荷物を車へ運んだ。駐車場であの彼が小さなイタリア車に荷物積み込んでいた。

「お疲れ様でした!」

「あ、お疲れ様です」

「可愛い車ですね」

「小さくて乗りやすいです」

彼はニコニコして車のトランクを閉めた。

「またフィールドで会ったら遊んで下さい!」

「今度は味方で連携取りたいですね」

「ぜひ!…では!また!」

彼は頭を下げて車へ乗り込んでしまった。

 アタチも頭を下げて小さくて可愛い車を見送ってから自分とサツキの荷物を車へ積み込んだ。


“あのくらい格好よくサバゲー出来たら良いなぁ~”

アタチは立ち回りを勉強しなくてはと心に決めた。


つづく

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