第6話 サツキの武器
サツキがウサギのようにぴょんぴょん跳ねながらバリケードを移動していくのを敵チームさん達が笑っている。アタチは恥ずかしくて他人のふりをして違う方向へ進むが少し後ろにお婆さんのように腰を曲げたサツキが後を付けてくる。
「さっちゃん!動きがおかしいよ!」
「姿勢を低くして尚且つ素早く動くためにはこれです!!」
サツキはドヤ顔している。
「てぃ!てぃ!てぃ!」
サツキはトリガーを弾く度に変な声を出している。
「ヒットでぇ~~す!」
ヒットされると何故か語尾を伸ばす。
サツキに気をとられている間にアタチは何度もヒットされているー。
「敵よりもさっちゃんに気を取られる!!」
「先輩もっと敵に集中しないと!!」
「あのなぁ~~~」
アタチはソルティを口に放り込んでラテで胃に流し込んだ。
「てぃ!てぃ!が気になるの!」
「声を出すと上手く狙えるんですよ!」
「でも1回もヒット取れてないじゃん!」
「はい!でも気持ちでは10HITくらいは取れてますよ!」
「あぁ…じゃあいっか!」
「です!です!気持ちが大事です!」
「アタチも気持ちを強く持つわ!」
「その調子です!ファイト!」
アタチはニコニコしているサツキに鼻クソをピッ!と飛ばした。
「辞めてくださよ!!!」
サツキはフェイスガードに付いた鼻クソを拭き取りながら笑っている。
「お姉さん達ナイスファイトですね!どこから来たんですか?」
軽装備のキラキラグラスをかけた二人組の男が話し掛けてきた。
「私達、中央区ですぅ~」
サツキが即答している。
「中央区…」
アタチは“知らねぇのかよ!!”と心の中でツッコミを入れた。
「神田の近くですぅ~」
「神田?」
「あぁ~知らないですか?」
「東京?」
「あぁ~知らないなら“何処から来たの?”とか聞かない方が良いと思いますよぉ」
「え?」
「聞かれて答えて、相手がその場所知らないとか会話が続かないからぁ~」
「あ、はい…」
「それでぇ?用事はなんですかぁ?」
“サツキ!?怖!!”男達がたじろいでる。
「あ!いや、ナイスファイトだったなぁと思って…」
「それはありがとうございますぅ!……で?」
「で?」
「それだけですかぁ?」
「あ、はぁ」
「気まずくなっちゃいましたねぇ!」
「あ、はぁ、じゃこの辺で…」
男達が去って行った。
「さっちゃん怖いなぁ」
「ナンパ系かなと思って撃破しましたぁ!先輩あの子達とお話したかったですか?」
「いや、全然!」
「ですよねぇ」
笑っているが笑っていないサツキに恐怖を覚えた。
流石、普段からよくナンパされている女子は撃退法を解っている。普段から危機察知能力が鍛えられているのだなと感心した。
つづく
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