第17話 地区戦の絵図じゃないな

連休明けの、レース前々日の鈴鹿スポーツ走行 GP250クラス

大円ライディングのTZ250後方排気

ピットインしてキャブセットとサスセットを繰り返す 


レース前のスポーツ走行 速いチームはマークされラップは計測される

エントラントはだいたい走ってて地区戦では図抜けて

来シーズンは全日本の声が掛かってる1のRSが17″9 二番手三番手は21″台


四番手以降は22″台後半 何時もの上位陣が上位に居た

三河バイクカラー68のTZがいきなり現れる 最速を狙う大円 2′17″2 を叩き出す


このセットで勝てなければお前が下手 と言い放ち 遊園地に栄子ちゃんと向かう

三河バイクのライダー二人 前回のアドバイスを貰ってのベストが 2′22″2 

同じバイクでキャブセットだけで5″も離されてる


午後のスポーツ走行 同じセットで頑張っても21秒台後半 縮まらない

それでも 彼らとしては自己ベストで 予選上位のタイム


チームとしは大円をライダーに据えたほうが成績が上がる

でも大円は頑として 俺はキャブセッター ライダーが頑張れ と言うのみ


内村さんと遠藤さんは、笑いが止まらない

バイクがしょぼいとか散々ライダーが言っていたのを蹴散らす大円


「金を掛けてチューニングとか 言ってたが どうだ」と遠藤さん大声で言う


下を向き ピットで凹むライダーにメカ


「白子の民宿 二人分 余裕で回収だな」内村さん


「余裕です 内村さん よく大円くんを引っぱって」遠藤さん


「運が良かった パドックゲートで追い返されるのを拾えた」


夕方 パドックに戻ってくる 大円と栄子ちゃん


「今日は鏡智と遊園地 楽しめました」栄子ちゃん


「それは良かった」と タイムより遊園地な大円


でもライダー二人は暗い

鈴鹿のコース図を置いて、ここからはワークでここで全開 と詳細に説明する


明後日は地区戦の予選 18″が出せれば 上位通過 

其のセットで17″2を叩き出されてる

それも鈴鹿のコースは4年ぶりのキャブセッターに40分のスポーツ走行で


「栄子ちゃん帰るよ」とか言ってる大円


「はい鏡智 帰りましょう」とNAに向かう二人


見送る 三河バイクの一同


「いい薬じゃない ライダーもメカも」内村さん


帰り道


「鏡智 ってこう言うサーキットも走れるんだね」と訊かれ


「うん 自分のセットを見る分にはね 競ってとかのは無理だなぁ」


「なんで?」


「キャブセッターは最速タイムを目指す ライダーは最上位を目指す

 この違いかな アイツラ競ったら命がけで競るから」


4月末には栄子ちゃんの引っ越しも終わり、前のアパートは空だが契約上家賃を払う

気にするほどの金額ではないので、渡して終わりにする


そんなアパート代よりも 式の話で来日したジョルジェットとマッシモが問題だ

夕方 いきなり現れたので、ちょっと待たせて 栄子ちゃんに相手をして貰う


会計は執事な 二人 放置するとやらかす


このマンションの1階には飲食店街 俺が飯を食うために 家賃も安く設定した

この飲食店街ならやらかしても、顔写真も配ってあり 自動的に俺のツケになる


二人にも ここで食え と言ってあるが白子に行く間とか 不安しか無い

難点は、四人乗れる車がない レンタカーも間に合わない


矢田に電話して


「クラウンワゴンを3日間貸してくれ 代車はどっちでも好きなほう」


お願いをすると、ロードスターで握れた


「どうしたん オープンを希望とか」


「涼子さん達が乗ってみたいって でもMTだから横で」


「今から 屋根〆て 行くわ」と矢田の家に向かう


矢田に屋根の空け〆、サベルトの〆方と調整を教えて クラウンワゴンを借りる

帰ってきて、飯は1階の飲食店街の焼き鳥屋に四人で行く


お貴族様の二人組 毎度のことだが眼の前での炭火の焼き鳥に大興奮

ジャポン とか騒いでる 酒は生中とのルールだ 言って聞かせてある 


意外と日本のキンキンに冷えたジョッキも凍った生中が好評だ

来てしまったので追い返すわけにもいかんし「プランは?」と訊いてみても


「なし 鏡智 に任す」だ 助かるのは三人の共通語が日本語


お互いの母国語だと喧嘩になるので俺に習った第三言語の日本語がいいらしい

地元でも日本語学校に通っているとの事


俺も、イタ公は男性名詞とか女性名詞とかぐちゃだが 意思疎通くらいは出来る

仏語は行けるが、これがバレるとイジメにあったので黙ってる

そもそも、仏語の勢いで メシマズ語 とか言ってしまった自分が悪いので反省中だ

しかたなしで 白子の民宿で合宿中の内村さんに電話


「二人余分が居るので、こっちはこっちで持つので 明日からお願いできない」


と訊いてみると


「頼めるか 朝0800 ゲート前で 頼む」


7日朝 鈴鹿のゲート前に0750に到着

パス類を内村さんから受取 ピットで二人を紹介してるとジョルジェット大興奮


パラソルを要求してバイクの横に立つ グリッドを指差して「あそこでもやる」

マッシモも ピットウオールに行き ボードボードと叫んでる


午前のスポーツ走行 昨日のNo68とは違う No38 の後方排気に乗る

こっちのは口だけセットで21″台 


「キョウチ カッコイイ」と二人 


オープン4分前 跨がり 待つとパラソル ジョルジェットが差してくれてる

地区戦の絵図じゃないな しかもキャブセッターのテスト走行だし


でも廻りのピットは、完全に勘違いして No38 は要チェック対象になった

オープン 順にスターターの確認を受けて コースインしていく


いい感じで廻ってる 最終コーナーから立ち上がってストレート吹けきる一歩手前

あ、ブレーキのバランスが悪い これはキツイ けど エンジンが先と周回して


4周目にピットイン 


「ブレーキ だめ 怖くて手前になる 68と同じのに

  パッド交換とエア抜き FrもRrも」


タイム表を見せてもらう 20秒3まで行ってる


「大円さん OKです」


「パッドのすり合わせしとくわ」とピットアウトしてコースイン


2周回は意識して強めのブレーキ 三周目にフルブレーキ キャブはいい感じ

マッシモが持つピットボードで20秒2 ラスト一周 アタック チェッカーで

ピットロードへ戻ると 18秒フラット まぁいいんじゃね


68は20″1までで止まった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

地区戦ではパラソルガールなんていなかった

間瀬で遊びに来てくれた20代女性二人 ピットに居るだけで

うちのチーム浮きましたし


今はどうなのかな?

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