第5話
翌日。お姉さんが起床して、歯を磨いている時に、テーブルの上に置いてあるメモ紙を見ていた。
「そうか、私仕事変わったんだっけ。よく分からないけど、今日からこの家にいけばいいのね。何が起きたのだろう…」
他人の運命を変えてはいけない。
だけど、お姉さんがいつもあの家に立ち止まっている理由が分かれば、何が解決するのだと考えて、黙ってはいられなかった。
支度が終わった。後をついていこう。
高梨航大の家について、インターホンを押した。
「おはよう。どうぞ中へ入って」
お姉さんは一礼して、玄関の中へ入り、リビングへと向かった。
「おはようございます。吉住若菜です。よろしくお願いします。」
「そんなにかしこまらなくても良いよ。吉住さん、まずキッチンやトイレなどの水回りの掃除からお願いできるかな?」
「分かりました。」
お姉さんの作業を見ていた。コンビニ以外でも働いていたのかな、凄く手際が良い。
しばらくすると、高梨に声をかけて次に行う場所を聞いて、リビングや玄関先の掃除を始めた。
2時間以上が経った頃、お姉さんは高梨のいる仕事場へ入り掃除が終わった事を告げた。
「ありがとう。休憩に入っていいよ。リビング使って」
「ついでに何か飲み物を入れましょうか?」
「いやいい。…吉住さん、顔色良くないね。そうだ、紅参茶がある。…これ、お湯で溶かして飲んでみて」
「ありがとう、ございます」
お湯を沸かしている間に2人は大学時代の話をしていた。お姉さんは少し俯いたまま聞いていて、高梨は懐かしそうに話していた。
今のところはまずまず良さげだった。何か進展があると良いな。
一方その頃、31は上界の岐路の部屋で49日を終えた魂と面談をしていた。
「こちらにおかけください」
「失礼します」
「俗名をお願いします」
「
「猪野さん、49日間のお勤めはいかがでしたか?」
「亡くなった事であんなにも遺族が悲しんでいたり、思い出話をしてくれたり…改めて私の事を考えてくれていたなんて、想定外でした。」
「思い残した事はありますか?」
「充分孫たちにも世話になりました。何も心配はないです」
「ではこちらの同意書にサインをしてください」
「…これで、良いですか?」
「はい。次に貴方を天界まで守る邪気払いのお茶を飲んでください」
「邪気?」
「天界へ向かう途中悪い者から身を守る為の、魔除けになるものです」
「では、いただきます。…飲みました」
「ありがとうございます。では、貴方はこれから天界に召された後、次に生まれ変わる為の準備があります。年数は分かり兼ねません。そこはそれぞれの魂が生前の行いにより、いつどのタイミングで生まれ変わるかは貴方次第になります。あちらの扉から出てください。158、ご案内を」
「こちらへどうぞ。」
「色々とありがとうございました」
「どうかお気をつけて」
「どうかお気をつけて。良い旅立ちを」
扉の前には天界へ向かう長い階段が待ち構えていた。その女性の魂は一礼をして階段を登っていった。
「…これで356位が来たな。多かったね」
「時期的にもよるのかもしれない。杯を下げてくれ」
「それにしても、あの橘由愛。あと40日が切るところだぞ。やる気あるのかな?」
「この部屋でその話はするな。まだ彼女はここに来ると決まっていないだろう」
「無責任な魂も見てきたけど、あの子は人間界で他の者のお節介をしている。早いとこ涙を集めるよう、31からも声をかけろよ」
「多少の厄介も僕らの使命だ。そろそろ呼ばれる頃か。…次の魂が来たようだ。対応を頼む」
「分かりました。」
31が私の元へ来た頃に、病室の私の隣にはママと友人が見舞いに来ていた。
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