第3話 『 LOVE YOU!』

3.

" 波紋 Ripple 3 "  



 うちのマンションはオートロック式になっているので

母親が到着すると鍵を開けるために起きてインターホンに付いている

ボタンを押さなければならない。


 大体の身支度ができた私はそれまで少しでもと、また布団に

潜り込み母親を待った。


 母親は運転ができない。

 免許を持たないのだ。


 来る道々、母はいろいろと考えてくれていたみたいで、家に着くと

前もって連絡して話をつけてあった医療関係のタクシーを呼び、私を

病院へ連れて行ってくれた。


 妊娠の可能性もあるということで慎重に検査をしてもらった。


 妊娠でないことは確実となった。

 そして紹介も伝手もなく飛び込んだ病院だったが殊の外、丁寧な対応を

してもらえた。

 

 血液検査と超音波検査。

 後日の予約をして私たちは帰路に着いた。


 「おかあさん、今日は本当にありがと。お世話かけました」


 「いいわよぉ、そんなこと。

 次の予約の日も車の運転が危うそうだったら今日使った医療関係の

タクシー使うといいわ。

 料金のことは言ってられないから」


 「うん、すごく調子が悪かったら次回もそうするわ」


 この日、母親は簡単な食事を作ってくれて、自分も食べて、

お茶して帰って行った。



 

 3-2.


 特に強く妊娠を望んでいたわけではないけれど、妊娠ならどんなに

良かったか! どんな病気なのか? 原因が特定できないみたいで

不安感に押し潰されそうだ。


 そして不安を抱えたまま、私はなんとか眠りにつき、次に目覚めたのは

23時頃だった。

 脂汗をかいてたみたいで、気持ち悪かった。


 夫は珍しくまだ帰宅してなかった。


 私はシャワーをしに浴室に向かった。

 シャワーをし終えてリビングで水を飲んで一服しているところに

ちょうど夫が帰って来た。


 

 「ただいまぁ~」


 ご機嫌な夫の挨拶があった。


 「ン、お帰りなさい」


 「あぁ、体調どう? 良くなった?」


 私は首を横に振った。


 「今日ね、病院に行ってきたの。

 今回は検査しただけなのでまだ病名がはっきりしないんだぁ」


 「そっか、じゃあしばらく、ゆっくりしとくといいよ。

 俺のことは気にしなくていいから」


 「うん、ごめんね、ンでもってありがと」


 「外出してる時は外で食ってくるし、家にいる時は自分でなんか

作って食うから、心配しなくていいよ。早く良くなるといいな」


 そう言って夫は私の頭を撫でてくれた。

 今まで通りのやさしい夫だった。


 

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