第2話 『 LOVE YOU!』
2.
" 波紋 Ripple 2 "
そう、あれは結婚して半年と少し、正確には8か月過ぎた頃の
ことだった。
ほんとにそれは突然起きた。
朝起きると昨日までの自分とは違う身体になっていてちょっとした
パニックに陥ったほどだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先に起きてリビングで寛いでいた夫を呼び、身体の異常を訴えた。
「どした?」
「なんか、おかしいの身体の調子が・・」
「どんな感じ? 起きられないくらい酷いの?」
「うん、胸がむかむかして起きるとすごく
「分かった、じゃあしばらく寝てなよ。俺はなんか作って食っとくからさ」
「ごめんね」
「平気へいき、早くよくなるといいな」
笑顔でそう言ってくれた夫は、台所へと向かった。
そして朝食を兼ねてブランチを摂った夫は、仕事先へと出かけて行った。
風邪を引いたわけでもないのに、この怠さ、しんどさといったら
半端ない。
これは寝てるだけで自然に治るものだろうか・・。
不安になった私は母親に電話した。
「香ちゃん、もしかしたら妊娠ってこともあるから診察受けるのは
慎重にしないとね。お母さん、今から支度したらすぐにそっちに
行くわ」
「ありがと、お母さん」
2-2.
私も病院へ行くための準備をしないといけないのだけれど。力が
出なくて、また布団に横になった。
妊娠?
妊娠ってこんなに怠いものなんだ。
確かに胸がむかむかしている。
これが悪阻っていうやつなんだ。
さてっと、少しずつでも母親が到着するまでに病院へ行けるよう
に身支度しておかないと。
ゆっくりと身支度している間に思ったこと。
新居を決める時、夫の第一希望の物件は私の実家から2時間も離れた所に建っていたマンションだった。
そして現在暮らすマンションは実家から車で30~40分、電車を使うと
50~60分掛る立地だ。
夫は基本、文筆家を生業として暮らしているので、
仕事関連で出かけることはそう多くはない。
サイドビジネスというのも変なのだが、ファッションが好きなことも
あり雑誌のモデルなどもしているので出掛けるとなるとこちらの職種での
ほうが多いかもしれない。
それはサラリーマンでいうところの出張みたいな形になるのでいつも
同じロケ地で撮影するというのでもなく、結局私の希望する実家から
近い方の物件に決めてもらったという経緯がある。
2時間もかかるところから流石に母親に来てもらうなんてできなかった
だろうから、改めて実家の近くに住まいを構えたことは正解だったなと
具合が悪くなって、つくづくそう思った。
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