第30話
「それで依頼は何にしたんだ?」
「依頼はこれ」
エミリアがそう言って依頼の紙を見せてくる。
「増え過ぎた蜘蛛の討伐。場所はトレド近郊の森ってざっくりしすぎじゃないか?」
「そうですね。その森を探s...。今蜘蛛って言いましたか!?」
「そう言ったけど...もしかして苦手なのか?」
俺がそう聞くとゆっくりと視線を逸らされた。
「エミリーは蜘蛛大丈夫なのか?」
「蜘蛛なら大丈夫。じゃあ苦手克服ってことで」
「いいんじゃないか?この世界は命が軽いからな。少しでも生存確率をあげるためだ」
それに今回は俺が戦う訳では無いからもしも気分が悪くなったりしたら俺が何とかできるだろう。
「──分かりました。頑張ってみます」
○○○○○○○○○○
「見た感じここが依頼の森で間違いなさそう」
「確かに蜘蛛の巣とかが結構あるからな」
「・・・・。」
「大丈夫か?」
と香織に聞くが首を縦に振るだけで何も言わなかった。
「とりあえず行くか。蜘蛛の巣は俺が炎魔法で燃やして道を確保しようか」
「森を燃やさないようにね」
「わかってるって」
とりあえず蜘蛛の巣が燃えるのか確認しようと近くの蜘蛛の巣に近づく。
「危ない!!」
エミリアがそう叫んだ瞬間蜘蛛が森の中から襲ってきた。
「!?」
驚いたが反射的に
「キシャアアアアアア!!!」
蜘蛛は鳴き声を上げながらしばらくのたうち回り動かなくなった。
「びっくりしたー。いきなり襲って来るなよ」
「か...空上さん大丈夫ですか?」
「?」
「俺は大丈夫」
「大丈夫ならいいんだけど、魔物を倒したのに魔石が出てこない」
「え?」
エミリアに言われて見てみるとさっきの蜘蛛は消滅していたがいつもは落ちているはずの魔石がなかった。
「たまたま落ちなかったわけではないよな」
「魔物を倒すと絶対魔石を落とすはず」
「そういえばティアさんもそんなこと言っていたな」
この世界では魔物を倒すと絶対魔石を落とすらしい。例外として召喚した魔物や眷属などは落とさないらしい。
「ということはこの蜘蛛は眷属か召喚された蜘蛛なのか」
「そうかも。そしたらこの森は蜘蛛の巣窟になってそう」
「私帰ってもいいですか?」
「まだ蜘蛛1匹見ただけだろ。それにいい短剣を持ってるんだからそれで何とかできる」
「・・・・。」
とりあえず香織さんには頑張ってもらうしかない。俺もあまり好きじゃないから早く終わらせて帰るつもりだしな。
「それで蜘蛛の巣は燃やせたの?」
「いやまだ試せてない」
今度は探知を使って近くに居ないことを確認してから近くの蜘蛛の巣に近づき炎魔法を発動する。
「燃えたけどなんか様子がおかしい...」
「様子がおかしいってどういうことですか?」
「燃えてるには燃えてるけど燃えないんだよ」
ただ蜘蛛の巣に炎魔法を付与しただけ見たいになってしまっている。少し時間が経つと炎が消えた。
「うーん。鑑定して見たら何かわかるかもしれない」
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○蜘蛛の巣
状態-恨毒の呪い
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「恨毒の呪い?えーと物理攻撃耐性、基本属性魔法スキル耐性、毒が付与される呪いってチートだろ。こんなんどうやって破壊するんだよ」
「呪いなら私の聖属性魔法で何とかなる」
「まじで?」
「まじですねぇ」
なんかうざい気もするが蜘蛛の糸を何とかしてくれそうなので何も言わないでおこう。
「多分この魔法で行けるかな?
エミリアがそう唱えるとさっき燃やした蜘蛛の巣が光を放ち消滅した。
「すげぇ本当に蜘蛛の巣を何とかできた」
「まあこんなもんよ」
「でもひとつだけだから時間がかかるじゃねーか!広範囲でその
「うるさいなー。できるから!
すると見えている範囲の森の蜘蛛の巣が消えて無くなっていた。
「これなら時間をかけずに蜘蛛の巣を取り除くことが出来るな。それと魔力は大丈夫か?」
「それは大丈夫。別の世界からあなたたちを召喚できるような魔力量があるから見くびらないことね」
「そういえばそうだった」
「でも蜘蛛はこれで倒せないから」
「普通に倒すしかないか」
蜘蛛の巣を浄化した範囲を探知を使い蜘蛛を探す。そして蜘蛛のいる場所に目掛けて魔法を放つ。エミリアも蜘蛛の位置が分かるらしく光魔法で攻撃をしている。香織さんは短剣を握って後ろでその様子を見ている。
まああの短剣で攻撃したら森が吹き飛びそうなのでしない方がいい。
「入口付近の蜘蛛は片付いたかな」
「せっかくだから減らすんじゃなくて全滅させよう」
「え...ちょっとだけ減らして帰りましょうよ」
エミリアの発言に完全に嫌がっている香織さん。
「一応さっきの蜘蛛を鑑定してみたんだけど」
そう言ってデータベースを開きさっき鑑定した蜘蛛のところを表示する。
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○
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「こんな感じでちゃんと眷属で親玉がいることがわかった」
「もうこれは潰しに行くしかないね」
「何でですか!ギルドに報告しに戻りましょうよ」
「これを倒せば私のランク上がることは間違いない!」
エミリアがそう言うと森に向けて聖属性魔法を放った。
「今何をしたんだ?」
「森全体を
「は?」
「だから森全体を
「そんなことはわかってる。それを最初からやれよ...」
「魔力消費が多くなりそうだったからやらなかったけどやってみたら意外と少なかった!」
「それは良かったな」
「っと言う事で魔力も全然余っているので親玉のところ行ってきます!」
そう言って1人で先に行ってしまった。
「あのーエミリアさん先に行ってしまったけど大丈夫なんですか?」
「わからん。だからとりあえず追いかけるか」
「わ、私もですか?」
「当たり前だろ?行くぞ」
「むぅ...」
○○○○○○○○○○
エミリアが入ってから直ぐに追いかけたはずだが見失ってしまった。どんだけ足が早いんだよ。もしかしたら光魔法で姿を消してるだけかもしれないが
「エミリアの場所は分かるんですか?」
「いや場所は分からないけど親玉のところに向かってるだろうしな。俺らもそこに行けば合流出来ると思う」
まあ親玉の位置もあまりわかっていなけどな!
マップを見てさっき鑑定した蜘蛛がいっぱい集まっているところに向かってるだけだし。
「それはそうとほんとに蜘蛛の巣が綺麗さっぱり無くなっている」
「そうですね。蜘蛛の巣がないだけで蜘蛛がいる雰囲気が無くなって楽ですね」
「そうか。それは良かったなってなんかまた蜘蛛が集まって来たな」
「またですか?私もだんだん慣れてきた気がします」
「キシャアアアアアア!!!」
蜘蛛が1匹奇声を上げながら飛びかかってきた。
「や、やっぱり無理です!」
そう言って俺の後ろに隠れてしまった。
「さっき慣れてきたって言ったばかりだろ...」
そう言いながら襲って来た蜘蛛を炎魔法で仕留める。一応他の魔法を試して見たが炎魔法が1番効いたので炎魔法を使っている。
「一旦一掃するか。炎の
俺の周りに無数の炎で出来た矢が出現し射出される。しかも探知スキルで場所を割り出されたやつにホーミングするというおまけ付き。これも
「全部倒しました?」
「一応近くの奴らはな。また集まって来る前に移動するか」
「次は多分蜘蛛大丈夫な気がします!」
「それを何回繰り返してるんだか...」
「うるさいです!次は大丈夫ですからね!」
それにしても蜘蛛が多いな。
「マップを見るともうそろなんだけど...って赤い点がどんどん減っていくんだが!?」
「あれ!もしかしてエミリアさんじゃないですか?」
いつの間にかこの森の上空にでかい魔法陣が出来ており、そこからビームが地面に目掛けて照射されていた。
「嘘だろ!?あれを1人でやってんのかよ」
「す、凄いです...」
「そんなことよりエミリアに森が吹き飛ばされるされる前に早く合流しないと」
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