第27話
「
「!?」
ウォルカニックの後ろから魔法が飛んできた。
「こいつが侵入者ね。私が相手よ」
魔法を避けてウォルカニックの後ろから来た人をよく見ると知っている人だった。
「河野さんか...確かこの人も上限99じゃなかったけ?ちょっとまずいかも」
「鶴見静香を傷つけた責任はとってもらうわ。
河野さんの頭上に魔法陣が五個現れてそこから氷柱が時間差で発射される。それと同時に河野さんが駆け出す。
「やべぇマジで殺しに来てる...並列思考!」
飛んできた氷柱を何本か処理した所で河野さんが攻撃してくるが、見たところ腰に剣がある訳でもなくほぼ丸腰。素手で攻撃してくると思い
すぐに反撃できるよう攻撃を見極める。
「
「っ!?」
突然伸びたリーチに対応できず避け切れず氷剣が肩をかすめる。そして体制を崩した俺にすかさず河野さんは追撃してくる。
「結界魔法!
河野さん追撃を結界魔法で受ける。そしてファイヤーボールで牽制し距離を取らせてその間に体制を立て直す。
マジであっぶね!河野さんは俺が誰のかわかってないから殺しにくるけど俺は殺さないようにしないといけないから大変だなこれ。早めに逃げたいけど来る時に掌握した結界があるんだけど、掌握するのにちょっと時間かかるんだよ...。
だからどうにかして掌握する時間つくらないと。
「戦闘中に考え事なんて余裕なのね!」
河野さんが氷魔法を織り交ぜながら氷剣で攻撃してくる。それを
「くっ...埒が明かない。なら
すると足元が凍り動けなくなり、動けなくなった俺に跳躍し氷剣で斬りかかって来る。それを結界魔法で受ける。
「そういえば言い間違えていた事があったわ。あなたの相手をするのは私じゃなくて私達だったわ」
「は?」
横から槍が飛んできているのに気づいた時にはもう結界魔法が間に合わず、剣で受けるが、槍の威力が強く吹き飛ばされて城を囲っている結界に激突する。
「ぐはっ...。しくったな...」
完全に一対一だと思ってしまっていた。ここは敵地だからそんな事にはならないはずだということを完全に抜けていた。とりあえず骨は無事だから今のところは大丈夫かあと体力もまだある。
「この槍誰が投げたんだ?」
そう言いながら目の前に落ちている槍を拾おうとした時、
「うわ!?」
槍がひとりでに動きだし向こうからくる人影の手元に飛んで行った。
あの槍投げたら持ち主に戻るのかよ!便利だな。
そんなことより2人こっちに向かってくるけど片方は河野さんでもう片方の槍を持っている方は誰だ?ん?あいつどこかで...
「まじか...恭介だ....」
よりにもよって恭介か。っていうか召喚された中であの二人だけだよねレベル上限99って。俺にとって最悪のパターンだな。
「マジでどうやって結界を掌握する時間稼ごうか...」
そう言って剣を構える。さてどこから来るのか...。
「なんでお前と組まないといけないんだよ」
「私だって嫌よ」
「だったらお前一人でやれよ」
「将軍の命令だから仕方ないでしょ」
2人で攻撃してくるかと思ったら2人で言い争いし始めたんだけど?まあ現実世界でもあんまり仲良くなかったらな。異世界に来てしかも戦闘中にやるか?ま、いっか!結界を掌握する時間ができたしな!
「じゃあお二人さんバイバイ〜!」
「あ!待ちなさい!」
「おい!待てよ!」
待てって言われて待つ泥棒がどこにいるんだよ...。まあ俺は何も盗んでないけどな。そういえばエミリア無事かな。──あれ?俺王女盗んでね?
○○○○○○○○○○
「エミリアはどこにいるんだ?透明になってるからマジでわからん。あ、探知スキル使えばいいのか」
探知スキルを発動すると前方にウィズダム王国方面に走っている反応がひとつあった。
「とりあえず片山さん達の所通り過ぎる前に合流しないと」
「エミリア!」
「!?」
驚いた様子でこちらを向く。
「びっくりしました。追手かと...」
「それはごめん。てか姿消してないんだな」
「魔力消耗が激しいのでずっと使っていたら疲れるの」
「そうなのか」
「とりあえず君の仲間の所に案内して」
「わかったよ」
エミリアを連れて片山さん達の所に向かう。
「まあここからだと結構近いからすぐに着くな」
「そうなの?」
「俺が方向音痴じゃなければな」
「え?方向音痴なの!?」
「違うから大丈夫」
少し歩いたところで焚き火が見えてきた。
「あ!おかえりなさい空上さん」
「おかえり。それで隣にいる人は?」
帰ってきていきなりティアさんから質問された。まあ気になるよな
「えーとこの人は...」
「どうも皆さんこんばんはミラレス王国第一王女のエミリアです」
俺が紹介しようとしたら割り込んできた。しかも王女とか言ってから片山さんとティアさんの目が怖い...
「空上くん?やらかさないでねって言ったよね?」
「そうですね...」
「なんで一国の王女様を誘拐してくるのかな?」
「あの〜ティアさんそれには色々と訳がありまして...」
「言い訳無用!」
エミリアに無言で援助を求めてみるがエミリアは俺から顔を逸らして、
「あ!そういえばあなたにお話がありますので少しこっちに来てもらっても?」
と言って片山さんを連れて逃げて行った。
「私達もお話しましょうか?」
「はい...」
○○○○○○○○○○
「はあ〜酷い目にあった...」
「あら?まだ足らないのかしら?」
「すみません!もう十分です!」
何故かしばらく単独行動禁止令が出たし...。
まあいっかあんまり一人で行動する気ないしな。
「それで片山さん達は何を話していたんだ?」
「追放してしまったことに対して謝っていました」
「まあ追放したのは王だから別に謝る必要はないけど」
「そうですけど召喚したのは私なので...」
「はい!もうこの話はおしまい!そんな過ぎた事ばかり気にしても意味無いでしょ?これからどうするか考えるわよ」
「そうですね過ぎたこと考えても仕方ないですし、私は追放されたことにもう気にしてませんから」
確かに過ぎたこと気にしても仕方ないしな。
「じゃあこの王女様をどうするかについて考えるわよ」
「どうするかって俺達についてくる気満々らしいけど」
「はい!私ついて行く気満々です!」
「お前...さっきまでの王女様口調じゃなくなってるぞ」
「いいじゃないですか!こっちが素なんですから」
まあ色々大変なんだろうな。さっき会った時にも口調が素になって時もあったしな。
「ここまで来ちゃったんだしつれていくしかないと思うけど名前どうするのよ。エミリアって言ったらバレるでしょ」
「そうですね。念の為に偽名を考えた方がいいかもしれません」
片山さんの言う通り偽名使った方がいいかもな。この後ウィズダム王国に行くんだから王女が非公式に別の国に行ってるのもまずいし。
「偽名か。これにしてほしいとかないのか?」
「呼びやすければなんでもいいけど変なのやめてよね」
「ではエミリーはどうですか?元の名前にも近いので呼び間違えが少ないかと思って...」
「いいんじゃないか」
「そうね。私もいいと思うわ」
「私もそれでいいです」
結構簡単にエミリアの偽名はエミリーに決まった。一文字変えただけだけどバレないよな?いや考えすぎか。
「冒険者ギルドで偽名でギルドカード作ればバレないのでは?」
「確かにそうだな偽名で作っちゃえばいいのか。でもギルドカードって偽名で作れなくね?」
「そこで私の出番よ。私ならギルドカードの作り方知ってるからどうにでもなるのよ」
「そういう事か」
思ったよりも簡単に偽造身分証が作れそう。いやこんな簡単に偽造身分証が作れたらダメなんだろうけど。
「そういえば言ってなかったけど空上くんと香織ちゃんは冒険者ランクCになっているから」
「「え?」」
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