第26話

「鶴見様とその隣にいる人は?」

「そういえばフード被ったまんまだった」


フードを脱ぐと王女が驚いた顔した。


「嘘...生きていたんですね!」

「まあなんとか」

「私が勝手に召喚したのに追放させてしまって本当にすみませんでした」


そう言って王女が頭を下げる。


「いや別にあなたが悪い訳では無いので頭を上げてください」

「わかりました」


王女が頭をあげる。

いきなり頭を下げて謝って来たからびっくりした。偉い人が謝ってくると何故かちょっと申し訳ない気持ちになるな。


「王女様に何か聞きたいことがあるんじゃないの?」

「聞きたいこと?」

「そうだった。聞きたいことなら山ほどあるぞ。一つ目は何でこんな結界で覆われているところにいたんだ?」

「それは私がお父様に反抗したからですね」

「なんで反抗なんかしたんだ?」

「2人を追放した事についてです。2人が追放された後お父様に追放した2人を連れ戻すように言いました。そしたらこの部屋に見張りをつけられ出れなくされました」


そういう事か。俺と片山さんの為に色々してくれようとした事は嬉しいな。

そんなことを思っていると鶴見さんが口を開いた。


「でも前はなかったはずの結界が張ってあった。それはなぜ?」

「それは3日程前に私が逃げて捕まったからです!」

「それは自信満々に言うことじゃないだろ」


ともかくこの王女が逃げたせいで警備が厳重になったんだな。


「前は人を駒の様に扱う人ではなかったんですけどね...お母様が亡くなってからだと思います。お父様がおかしくなったのは」

「ちょっと待てほんとに今の王様は君のお父様なのか?」

「私もその可能性を考えました。私のお父様はもう亡くなっていて別の誰かが私のお父様になりすましているではないかと。だから調査を始めたのですが、それもバレていたようです」

「建前は反抗したからで実際は嗅ぎ回られたくないからここに閉じ込めたということか?」

「そうだと思います」


この国大丈夫か?王様乗っ取られてるけど...まあなんとかなるか。


「っていうか鶴見さんはこのこと知ってた?」

「知らなかった。この国から逃げたい...」

「まあそうなるよな。どうする?俺と一緒に来るか?」

「そうしたいけど逃げたら他の人達に迷惑がかかるからやめておく」

「あ、なら私が行きたい!」


さっきまでちょっと悲しそうにしてた王女が食いついてきた。


「な、なんで?」

「だってここにずっと閉じ込められていてもつまんないだもん」

「いや知るか」

「そう言わずにさ〜」


確かにここにずっと閉じ込められているのも嫌だろうけど。


「とりあえず次の質問な」

「あの〜別に答えてもいいけど...」

「いいけど?」

「後ろで倒れてた見張り1人逃げたけど大丈夫?」

「え?」


後ろを振り向くとちょうどさっき気絶させた見張りの1人が起き上がり逃げるところだった。


「まずい助けを呼びに行かれたな。普通に時間が無い」

「私を連れて行って別の場所でゆっくり話聞いた方がいいじゃない?」

「あーもうわかった連れていくから!鶴見さんはどうする?」

「私のことはここで眠らせておいて」

「その場合だとちょっと痛いかもよ」

「大丈夫。そうでもしないと疑われるから」

「わかった」


鶴見さんを手刀で気絶させる。


「よしじゃあ後は王女だけど」

「エミリアって呼んで」

「え?」

「だから王女って呼びづらいでしょ?エミリアでいい」

「エミリアって何か魔法使えるのか?出来れば姿が見えにくくなるやつがいい」

「いきなり呼び捨て...まあいいわ。私は光魔法と聖属性魔法、召喚魔法が使える」

「俺が知らない魔法スキルばっかだな。じゃあその中で姿を消せるのは?」

「光魔法で姿消せるけど」


光魔法姿消せるのか。俺もここに来る前に欲しかった。そんなことより姿消せるんだったら結構楽に連れて行ける。


「とりあえずエミリアは姿を消してこの王都を脱出してウィズダム王国の方へ進んでくれ」

「わかったけどあなたはどうするの?」

「どうせ俺のクラスメイトが来そうだからしばらく相手してから合流するよ」

「捕まらないでちゃんと合流してよね」


それだけ言うとエミリアは魔法を使って壁に穴を開けて姿を消した。


「だから結界魔法を張られたんだ...」


壁に空いた穴を見ながらつぶやく。

とりあえずエミリアが離れるまで時間稼がないと追いつかれて捕まっても面倒だしな。


「向こうから来てくれるまで待つかこっちから行くかどうしよっかな」


こういう時に敵の配置が分かればいいんだけどマップには鑑定したやつしか映らないし探知系のスキルが欲しいよな。


同期シンクロ発動。現在の状況と無属性魔法を同期します。新たにスキル探知を獲得しました』


来ました同期シンクロ!この現在の状況ってなんだよ。俺が今欲しいなと思ったものじゃねーか?まあ気にしたら負けだな。


「早速使って見るか探知!」


なんか感覚的に人の位置がわかるな。効果範囲はあんまり分からないけど...って、ん?俺の頭上に一人いるぞ。しかもだんだんこっちに落ちてきてる!?


ドゴォオオォオオン!


まじかこいつ天井を突き破って俺に攻撃してきやがった!縮地を使って避けたけどさっきまで俺がいたところに大剣がめり込んでるし...まじあぶねえ。


「避けられたか」

「いや避けられたかじゃなくてもっと普通に攻撃してこいよ!」

「誰も上から来るなんて思わないだろ?」

「確かにそうだけど!」


探知スキルゲットしてなかったら気づかなかったし奇襲としては完璧だった。しかもクラスメイトが来るかと思ったらなんか別の知らない人来たし...。


「てか誰だよお前」

「俺はミラレス王国将軍ウォルカニック・ブロードだ。貴様は?」

「こそ泥が名前を言うとでも?」

「それもそうだ。まあ貴様の名前など、どうでもいいか」


ストレージから次なる伝説へ続く剣カリバーン取り出し魔力変換コンバージョン、縮地を発動して肉薄する。


「うお!?」


ウォルカニックは驚いた声を上げながらも持っている大剣で防御してくる。


「嘘だろ!?」


俺のことを目で追えてない様子だったのに正確に防御してきたことに驚く。そして反撃を貰わないようにウォルカニックから距離を取る。


「勘で防御してなかったら食らっていた。それにしてもすごい速さだった」

「見えなかったからって勘で防御して成功させるとかどういう勘してんだよ...」


またウォルカニックに近づき連続で攻撃する。


「そんな単調な攻撃では届かないぞ!ふんっ!!」


いとも簡単になぎ払われる。


「ちっ!岩石弾丸ロックバレット!!」


岩石弾丸ロックバレットをひとつの大きな弾丸にして放つが、大剣で両断される。


「やはり貴様はまだ未熟。力を使っている訳ではなく力に使われているな」

付与魔法エンチャントウィンド!!」


次なる伝説へ続く剣カリバーンに風魔法を付与しウォルカニックに攻撃する。


「くらえっ!!」

「また同じような攻撃を...っ!?」


付与していた風魔法のおかげでウォルカニックを建物外に吹き飛ばすことが出来た。空中に放り出されたウォルカニックにすかさず追撃したが、しっかり攻撃を合わされてカウンターをくらいそうになり結界魔法でガードする。


付与魔法エンチャントか。珍しいスキルを使う」

「このスキルって珍しいんだな。まあ今はどうでもいいけど」


ていうかまだあいつのこと鑑定してなくね?まさかのところから奇襲された事に驚いて忘れてた。


━━━━━━━━━━━━━━━

- [ ]ウォルカニック・ブロード

○レベル96 上限99

- [ ]称号

将軍

剣王

- [ ]スキル

剣技(大剣)LvMAX

炎魔法LvMAX

身体強化LvMAX

威圧Lv9

━━━━━━━━━━━━━━━


鑑定したけどこいつ強くね?俺とレベル差たったの5しかない...


「よそ見している暇はあるのかな?」

「くっ...!」


ウォルカニックのステータスを見ていたら大剣で斬りかかってきた。回避が間に合わないため剣で受ける。


紅焔の吐息クリムゾンブレス

「まじか!?」


魔力変換コンバージョンの出力を上げてウォルカニックを押し返し魔法を避ける。そしてウォルカニックが発動した魔法を避けたあと鍔迫り合いで押し返され体制を崩したウォルカニックに炎魔法放つ。


「エクスプロージョン!!」


ものすごい爆発は発生しウォルカニックは城の方に吹き飛ばされていた。


「直前に魔力変換コンバージョンの出力あげたからちょっと威力ミスったかも」


そろそろいい時間だしエミリアの所に行くか。


「ここまでとは思っていなかったぞ」

「まじか!?気絶ぐらいはしてるのかと思ったけどめちゃめちゃ元気じゃん」

「まあ結構食らったが問題ない。俺は戦わないからな」

「どういうことだ?」

氷の弾丸グレイシャルバレット

「!?」


ウォルカニックの後ろから魔法が飛んできた。


「こいつが侵入者ね。私が相手よ」

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