第25話
「案内するのはいいけれどひとつ問題があって...」
「問題?」
「私今いる場所がどこかわからない」
「.....。」
まさか自分の住んでる城で迷子になっていると
は...
「仕方ないじゃない!しばらく自分の部屋にひきこもってたから城のことについて何も知らないの!」
「案内は無理なのか」
「自分の部屋からだったら王女様の所に行けるけど」
「じゃあ鶴見さんの部屋を目指せばいいのか」
とは言ったもののこのでかい城で1部屋探すの大変だぞ。
「鶴見さんの部屋を目指すためになにか他にヒントない?」
「うーん...あったかな。──あ、そういえば」
「なんか思い出した?」
「外に訓練所あるんだけどそこからなら自分の部屋に戻れる」
「外だったら見つけやすそうだな」
この城の上から探せばいいんじゃないか?飛べないけど、結界魔法を足場にして上まで行けばいい。てか城に侵入してめっちゃすぐに外に出るじゃん。
「失礼します」
「え!?ちょ、なに!?」
鶴見さんを抱き抱えてさっき入ってきた窓から外に出る。そして結界魔法を発動して城の真上に向かう。
「空上って空飛べるの!?」
「いや正確には空中に足場を作ってるだけだな」
「そ、そうなんだ。──だったら私の事抱える必要なくない?」
「あ、確かに...」
空飛ぶわけでもないから足場作って一緒に昇って来ればよかったのか。
「別にいいけど、この方が早いし」
「ならいっか」
「あ、重いって言ったら殺すから」
「はい...」
その一言だけ重みが違う...まあでもレベルが高いおかげで全然軽いんだけどな。
そんな事を思っていると城の真上まで来ていた。
「とりあえず城の真上まで来たけど訓練所ってどこにある?」
「──あった。あそこ」
と言って指をさす。
あそこか。結構奥だけどこの暗さでよく見つけられたな。なんか暗いところでも見えるスキル持ってるのか?そんなことより早く行くか。
結界魔法発動し、訓練所に向かって階段状に足場を作り、鶴見さんを抱えたまま降りていく。
「よし着いたぞ。ここからなら自分の部屋に戻れるんだろ」
「まあ今日の朝に来たばかりだから。あと下ろして」
すいませんと言いながら鶴見さんのことを下ろす。すると鶴見さんは足早に訓練所から城に入るための唯一の扉に向かった。
「だめ。開いてない」
「どうしようか。ぶっ壊すのはさすがにだめだよな」
「どう考えてもだめ。そもそもこの城の扉全部普通の扉じゃなくて魔法の扉だから壊そうとしても無理だと思う」
魔法の扉か...ぶっ壊すのに時間がかかりそうだな。──うん?ちょっと待てよ。もしかして...
「なあ、この扉って魔法で開け閉めするのか?」
「そうだよ。私の部屋も魔力を持ったこの金属のカードで鍵の開け閉めをしてる」
そう言って金属のカードを見せてくれる。
「だけどこれは私の部屋専用だからそこの扉は無理」
「それなら...もしかしたら行けるかも」
「もしかしたらって扉になんか手を当てて何をしているの?そんなんで開くわけ...」
ガチャ。
「お、開いたな」
そう言って扉を開ける。鶴見さんはこっちを凝視ながら突っ立ていた。
「なんでそこで突っ立てるんだ?扉が開いたんだから早く行こうぜ」
「な、何をしたの?」
「
「何そのスキル聞いた事ないんだけど」
「聞いたことないって知らないだけだろ」
「この世界のスキルだいたい覚えた」
「いや、なんで覚えてんの!?」
「暇だったから」
まあ確かに部屋から出てないもんなって言ったら殺されそうだからやめておこう。
「そんなことより早くいこうぜ」
「付いてきて」
そう言って駆け足で城の中に入って行ったので俺も急いで後を追った。
○○○○○○○○○○
「訓練所から遠くないか?」
「私も思ったちょっと不便」
「今になって気づいたのかよ」
「次角を右に曲がったら...」
鶴見さんが顔をのぞかせて誰もいないか確認する。
「誰もいないこの通路真っ直ぐ行って一番奥の部屋が私の部屋だから一旦そこに入ろう」
「俺が入っていいのか?」
「別に変な物置いてないから大丈夫」
「わかった」
そして足早に通路進む。何事も無く部屋に入ることができた。
「無事に着いたな」
「何事も無くて良かった」
「ここからなら行けるんだろ」
「任せて」
あとは王女から情報を聞き出してから見つかって騒ぎ起こしてから帰る。簡単だな多分。
「そういえば思い出したんだけど王女様の部屋に行くのに渡り廊下を通らないといけないんだけど」
「だけど?」
「その渡り廊下のすぐ先に扉があってそこに見張りが2人いると思う」
「それ結構大事じゃね?」
その情報知らずに行ったら王女に会う前に見つかる羽目になってたな。
「他になんか重要なことないよな?」
「もうないと思う」
「まあなんかあってもなんとかなるか」
そろそろ行くか。ここにいても仕方ないし。
「外の様子は大丈夫か?」
「ちょっと待って今確認する」
そう言うと鶴見さんは部屋のドアを開けて顔をのぞかせて周りを確認した。
「今なら大丈夫」
「よし。なら早く行こうか」
「部屋を出て左行って一番奥まで行って右」
「了解」
俺は部屋から出て駆け足で言われた方向に進む。鶴見さんは部屋の鍵を閉めてから俺のあとを追ってきた。
○○○○○○○○○○
俺らは今渡り廊下の前にいるんだけど...
「ちょっと見張りの数多くない?」
「前来た時は2人だった」
「なんで6人もいるの!?」
「夜だからかも」
その可能性はあるかもしれないけどなんでそんなに警備厳重にする必要があるんだ?
まあ王女に聞けばいいか。
「どうするかこの見張りたち」
「まず私が行って油断させてから空上さんが全員やる」
「本当にそれで大丈夫か?」
「なんとかなる」
グッジョブってやってるけども...まあ俺が一瞬で6人やればいいだけだ。相手は油断するんだからそれぐらいの隙は出来ると思うし。
「じゃ、行ってくる」
「怪しまれるなよ」
鶴見さんは見張り達の方に行く。すると鶴見さんに気づいたらしく、
「おい!お前止まれ!って勇者じゃないか。どうしたんだ?」
「寝れなくてさっき中庭まで散歩しに行こうとしたんですけど窓からなんか人が入ってきて」
「まさか侵入者か!?」
「追い払おうとしたんですけど結構強くて逃げて来て城の人達に報告してるんですけど」
鶴見さん嘘上手くないか?ってこのままだとあいつらこっちに来そうだな。
「わかった俺らから将軍に報告してくるからお前はここを守っていてくれ」
見張りの1人がそう言うと6人全員がこっちに向かって来た。
「まさか全員来るとはな。こういう場合1人や2人ぐらい残して行くもんだろ。とりあえず全員気絶させるか。峰打ちとかやった事ないけど剣技レベルMAXだからできるだろ」
そう言いながらストレージから雷華を取り出す。
そしてフードを被り直し向かってくる見張り達の前に姿を現す。
「誰だ!侵入者とはお前のk....」
「あんまり騒がれると困る」
一瞬のうちに全員その場で倒れて動かなくなった。
「初めてでも案外いけるもんだ。これも剣技がレベルMAXのおかげだな」
「すごい全然見えなかった」
「鶴見さんもこれくらいできるようになると思うけど」
「無理だと思うけど。それより早く王女様に会うんですしょ?」
「そうだな。よしじゃあ王女様とご対面だ」
さっきまで見張り達が守っていた扉に近づくが、透明な壁に阻まれた。
「嘘だろ!?ここにも結界があるのかよ」
「前来た時はこんなのなかった」
「どういうことだ?まあそれも王女に聞けば済むことだしとりあえず
「今度こそご対面だ」
扉を開けるとそこには召喚された時に見た王女が部屋の端の椅子に座っていた。
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