第24話

「ここら辺ならいいんじゃない?」

「ここならあまり人に見られないし王都にもまあまあ近いしな」

「そうですね。ここでいいと思います」


いやー車酔いしないタイプでよかったー。馬車ってめちゃくちゃ揺れるな。道があまり綺麗じゃないのもあるかもしれないけど。ちなみに片山さんも車酔いしないタイプだった。

「私はよく車で登校してましたしほぼ毎日車に乗っているからではないですか?」とか言ってたし...


「まだちょっと明るいし暗くなるまで待つか」

「じゃあ木の枝とか集めて来て欲しいわ」

「火を起こすのか?」

「じゃないと暗いし料理もできないでしょ」

「わかった集めてくるよ」

「あ、私も行きます」


火を起こして料理するって言ってたけどティアさんは料理できるのか。


「そういえば片山さんって料理できるのか?」

「料理?ちょっとしか出来ないですけど」

「ちょっとって何を作れるんだ?」

「かっ...」

「カップラーメンは無しな」

「むぅ」


今絶対カップラーメンって言おうとしてたよな?

カップラーメンは料理じゃねーだろ。


「カップラーメンって料理じゃ...」

「ない」


カップラーメンは料理ってどこ情報だよ...

まさか親なわけないよな?まあいいやとりあえず薪集めないと、遅いとティアさんに怒られそうだし...。

そこら辺にある乾いてそうな木の枝などを片っ端から片山さんと一緒にストレージに放り込んでいく。


「これくらいでいいかな?」

「そうですねちょっと多すぎる気もしますけど」

「足りないよりもマシだろ」


ティアさんのところに戻るか。お腹空いたしな。


「帰ってきたぞ〜」

「おかえり。拾ってきたやつ適当にあそこに置いて」


適当にってどれくらいだよ。まあ感覚でいいか。


「ちゃんと乾いたの持ってきたのね」

「まあそりゃ燃やすからな。──そういえばどうやって火をつけるんだ?」

「炎魔法に決まってるじゃない」

「ティアさんって炎魔法使えるんだっけ?」

「空上くんのに決まってるでしょ...」


ですよねー。こういう日常生活で魔法使わないから全然考えてなかった。でもそう考えると魔法ってめちゃくちゃ便利だな。


「ちょうど日が沈んだわね。準備出来たから日をつけてもいいわよ」

「りょーかい」


炎魔法を使い薪に火をつける。そして火をつけた焚き火を取り囲むように座る。


「なんか新鮮な感じがします」

「なんか異世界来た〜って感じがする」

「ゆっくりするのもいいけど空上くんはこの後やる事あるんでしょ」


そういえばそうだった...仕方ない早めに行って早めに帰ってこよ。っとその前にこの服のままだとバレそうなのでこの前買った黒色の服に着替えないと。

ストレージから服を取りだして馬車で着替える。


「結構似合ってるじゃない」

「わ、私も似合ってると思います...」

「ありがとうございます?」

「どうして疑問形なのよ...」

「とりあえず行ってくる」

「気を付けてくださいね」

「わかった。あとちゃんと鶴見静香さんに伝えてくるから」

「はい!お願いします!」


魔力変換コンバージョンを発動してミラレス王国王都に向かった。




○○○○○○○○○○




「案外早く着いたな」


王都から結構馬車で移動した気がするけど...

まあレベル上限突破してる身体能力に魔力変換コンバージョンの身体強化を重ねてるしな。目の前にある街を囲んでる城壁もなんかジャンプで越えられそうな感覚があるし今さらだけどつくづくチートだな...

そう思いながらひとっ飛びで城壁を越える。


「街には結構簡単に侵入できたな。城には侵入するのが難しいんだろうな。どうせ結界を沢山張ってそうだし」


街中を走り抜け城に向かった。

結構見回りしている衛兵とかいたけど危機感ゼロだったので見つかることはなかった。


「結構簡単に城の前まで来たけどやっぱり結界張ってあるな」


一応結界を鑑定してみたが壊したり無理に通り抜けようとすると警報がなるらしい。警報だけならして帰ろうかな...


同期シンクロ発動結界魔法と現在の状況を同期します。パッシブスキル結界無効を生成。現在の空上翔の戦闘スタイルと結界無効を同期し合わないと判断。結界無効を代償に新たなスキル魔法掌握ハッキングを生成しました』


同期シンクロ先生久しぶりに発動した気がする。最近は結構落ち着いてたのにな。結界無効ってスキル勝手に生贄にされてたし...戦闘スタイルと合わないって多分結界無効を獲得すると自分の結界も無効にされて結界の上に立てなくなるのか。それより新しくゲットした魔法掌握ハッキング。名前からしてチートのオーラがめちゃくちゃ出てるけど鑑定してみるか。


━━━━━━━━━━━━━━━

魔法掌握ハッキング

称号同期シンクロによって生成されたスキル。発動中の魔法系統スキルを掌握することが出来る。レベルが上がるごとに同時に掌握できる魔法の種類が増える。

━━━━━━━━━━━━━━━


今回鑑定スキルめっちゃ仕事するな!スキルよりそっちに驚いちゃったよ。鑑定って気まぐれなのか?ってそんなことより魔法掌握ハッキングチートすぎ...多分魔力消費量とかは発動してる魔法の強さで変わりそうだな。


「とりあえず使わないと分からないからな魔法掌握ハッキング


城を取り囲んでいる結界に向かって魔法掌握ハッキングを放つ。


「うーん...目に見える変化はないな」


これで掌握できたのか?魔力が結構持ってかれた気がするし...結界魔法を操作する感じで目の前の結界も操作できるようになってるんじゃないのか?


「おお!入口を作れた!」


ガチで掌握できちゃった...このスキルがあれば相手の魔法を解除したりできるのか。スキルをひとつ生贄にしてるだけのことはあるな。


「結局城の結界も簡単に突破できたな。さてと、どこから城の中に入ろうかな」


さすがに正面入口はダメだな。他に入るところがあるとしたら窓かな。でもだいたい閉まってるだろうし...


「──あそこひとつだけ開いてね?」


たまたま閉め忘れたんだろうがありがたく利用させてもらうぜ。

4階ぐらいにある開いてる窓に向かってジャンプし、城の中へとはいる。


「!?」


窓から入ることには成功したが人がいたのだ。

いや侵入して1秒も経たずに見つかるとは思ってもなかったわ...


「だ、誰?」


まあ誰と聞かれて素直に答える泥棒をいないわけで、まあ泥棒じゃないんだけど...

そんな事を考えていると相手は短剣を構えたのでストレージから次なる伝説へ続く剣カリバーンを取り出す。そして牽制として魔法を撃つ。


岩石弾丸ロックバレット

氷球アイスボール!」


俺の撃った魔法に魔法をぶつけて相殺したな。

普通に魔法の技術はすごいな。魔法の撃ち合いなんかしてたら仲間来そうだし早めに終わらせるか!

縮地を使い接近し攻撃をする。


「まじか!」


相手は俺の動きが見えていなかったのに攻撃を防ぎやがった。けど、ギリギリな感じでちゃんと防げてなくてバランスを崩し吹っ飛んだけど。


「あまり抵抗しないでくれ。手荒な真似はしたくない」


こんな事を言ったがもとから手荒な真似はするつもりないからな。とりあえず一旦気絶させるか。


「空上さん?」


あれ?なんでこの人俺の名前知ってるんだ?ってん?この人の顔見たことあるな...


「え...もしかして、鶴見静香さん?」

「本当に空上さん!?」

「そうだよ」


そう言いながらフードを取る。

侵入してすぐに見つかったから動揺して顔をあまり見てなかったな。危うくクラスメイトを気絶させるところだったぜ...


「はぁ〜...このまま殺されるかと思った」

「さすがに殺しはしないよ。ちょっと気絶してもらおうかと思ってたけど」

「あれ?空上さんって追放されてたよねレベル1だからって」

「まあそうだけど」

「なんでそんなに強いの?」

「うーん...それまだ言えないかな」

「そっか。それと、香織ちゃんは?」

「無事だよ。俺と一緒に行動してるけど今はいない」

「でも香織ちゃんは無事なんだね!良かった〜...ずっと心配だったんだよ...」


片山さんが無事でいることをとても喜んでいるようだった。


「俺がここに来たのは片山さんに無事だということを鶴見さんに伝えるために来たのもある」

「他になにか用事があるの?」

「ちょっと気になることがあって」

「気になること?」

「王女がどこにいるか知ってる?」

「王女!?」

「この世界に俺たちを召喚した王女なら元の世界に戻る方法を知ってそうだからな」


クラスメイトの様子だけ見て来て騒ぎ起こして帰るわけにも行かないし、せっかくきたんだから何か情報の一つぐらい持ち帰りたい。


「流石に知らないか」

「知ってますよ」

「仕方ない王女は自分で自分で探すか...って、え?今なんて言った?」  

「だから王女の居る場所知ってる」

「本当か!案内してくれ」

「い、いいけど、この城の人達に見つからないようにね」

「見つかったら俺を囮にして逃げていいよ」

「そうします」


躊躇いもなく言われた。俺を囮にすることに対してもっと迷って欲しかったなぁ。

まあ案内してくれるだけでも万々歳なので余計なことは言わないようにしておこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る