第4話 チンピラ
「クマちゃん、一緒に帰ろうぜー」
「待ってたのか」
普段の拓真は、帰りの会が終わった後いつの間にか帰っている。しかし、今日は日直だったためすぐには帰れず、待っていた達也と一緒に帰ることになった。
「クマちゃんっていつも一瞬で帰ってるよな」
「まぁな」
「なんでいつもそんな早く帰ってんの?」
「ゲームやりたいから」
「そこは子どもなんだな(笑)」
「子どもだからな」
「なんかイカついなあの人」と達也が小声で言った。
「目だけは見るなよ」
「なんで?」
「面倒なことになるから」
達也は気になってしまったのか、近くを通る男の目を見続けてしまった。
「なに見てんだテメェ」
(あー、やっぱこうなるか)拓真は頭を
「み、見てないですっ」
「パチこいてんじゃねーよ、ぶっ飛ばすぞ」
「すみません! 本当に見てないですっ」
「すみませんで済んだら警察はいらねんだよ!」
黙っていた拓真が突然口を開いた。
「じゃあ警察呼びますね」
「あ? なんだテメェ。ナメてんのか?」
「すみませんで済まなかったんだから警察がいるってことですよね?」
「うっせぇな。まずテメェからぶっ飛ばしてやろうか?」
「いいんですか? この辺は学校が近いから防犯カメラが多く設置されてるんですよ?」
「そ、それがどうした」
「たとえ俺たちがボコボコにされても、アンタは必ず捕まる。そして最低でも
「チッ、クソが! 覚えてろよ!」
男はそそくさと走り去った。
「す、すげーなクマちゃん! 俺なんて怖くて声出すのがやっとだったのに」
「いや俺だって怖かったわ」
「本当か? そうは見えなかったぞ?」
「そう見えたら本当にボコされてたかもしれないだろ?」
「でも防犯カメラあるんだろ?」
「さぁ?」
「はぁ? 嘘だったのか!?」
「いやどっかにはあると思うけど、ここら辺にあるかは知らない」
「やばすぎだろ! しかもさっきのなんだよ、傷害罪だっけ? なんで知ってんだよ」
「前にテレビでやってたから。まぁ合ってるかは分からないけど」
「おい! さっきのもだけど、もしバレたらどうするつもりだったんだよ」
「馬鹿デカい声で助けてーって
「いやそこは子どもかい!」
「だから言ってんだろ、子どもだって」
チンピラに絡まれたが、拓真の機転によって2人とも無事だった。しばらくその場で話した後、2人は再び歩き始めた。
「でもクマちゃんって本当にすごいよな」
「いやたまたま上手くいっただけだから」
「だとしてもすげーよ。でもこれからどうすんの?」
「これからって?」
「もしまたアイツに会ったらってことだよ」
「変装して学校行くから大丈夫」
「いやダメだろ」
次の日、拓真はメガネを掛けてきた。
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