第10話

 ベッドの上でイチャイチャとしている二人。 そして疾風は横にいる翼のことを横から抱き締めると、


「さっきの話だけど……本当に僕がお兄ちゃんの所に来てもいいの?」

「ただそれには条件があるって言っただろ?」

「バイトするってことでしょ? ま、それ位はいいけどさ、バイトって今までにしたことがないから、何をやったらいいか分からないのが本音だなぁ」

「別にそこは自分が好きな仕事をやってみればいいだけだろ?」

「その好きなバイトが分からないからお兄ちゃんに相談してるのだけど?」

「そこは流石に俺に聞かれても分からないところだな。 だって、そこは自分で決める所だろ? 仕事っていうか……自分のことは自分で決めないとだろうが……。 何? お前は俺に仕事探して欲しい訳?」

「あ、そういう訳じゃないんだけどさ。 ま、色々と初めての経験だし、そういう所は先輩のお兄ちゃんに相談してるだけだよ」

「あ、まぁ……相談って言うなら聞いてやってもいいぜ……」

「だから 、どういうバイトがいいのかな? って思ってさ」

「だから、それは自分で決めることだって言っただろ?」

「そっか……そうだよねぇ。 ま、いいや……とりあえず、今日は寝ようか? バイトが決まればお兄ちゃんと家に住んでいいんだよね?」

「ま、そういうことだ……」


そう疾風は嬉しそうに言うと目を瞑る。





 それから一週間後に疾風はバイトを見つけたことを報告しに翼の家へと行くのだ。


そこはいつものことなのだが……


「お兄ちゃん! 僕、バイト先決まったよ!」

「……で、何をすることにしたんだ?」

「ん? 聞きたい? ま、バイトっていうのかな? っていう位なんだけどさ……要はお兄ちゃん的に、お金稼いで欲しい! っていう訳でしょー。 なら、それでもいいんじゃないかな? って思ったんだけどね」


 そう翼に顔を近付け意味ありげに言う疾風。

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