第24話:開拓のチラシのふかーい闇


「いや〜本当に色々書いてんな〜これ。」


「そんにゃ面白いんですか?」


「あ〜なんつったら良いかな。図鑑とか資料集読んでるワクワク感が楽しい。」


「はぇー、そういぇゔぁ、いつもの変な口調はどしました?」


「あれは戦闘に応用する為やってるだけだ」


「はぇー、そりぇ、普通に嫌わえてますよ。私にクリェームきてますよ。ウザイ、話してて疲れる、馬鹿にされてる気がする、とか」


「通りで最近避けられてる訳だ。飽きたらやめるか。」


「相手えりゃんどるのがタチ悪いすね。」


「どっちが?」


「あなたが」



 ........少し.....うるさい声が.....聞こえる......


「ん.....うぅう......」


「おっ、目が覚めたか?」


 俺が寝起き特有の、まぶたのゴロゴロ感を感じながら目を開ける。


「大丈夫ですきゃ?なんかうなされてたけど。」


「ん''んんー、ふぁあ.....お陰様でぇえぇ。」


 ......久しぶりにちゃんと寝た気がする。

 

 多分“スリープ”かなんかの魔法をかけられたんだろう。誰が何の目的で?


 目も頭も少し冴えてきた時、薄暗い鉄格子てつごうしとそれをまたぐ様に、目の前にあぐらをかいて座っている、2人.....いや、2にぶつが居た。


 見たところ、片方は少し悪趣味な緑色のローブのクルクル巻き巻き髪。もう片方は、今にも死にそうで手が震えている、赤い顔の、ピンクの髪。


“常連さんの仲間かと思って!”


 多分ピンクの方は、店員さんの言ってた奴だな。となると、色々と気になる事がある。


「まぁとりあえず、年齢性別名前役割をとりあえず。」


 パーティー面接みたいだな......


「名前はアルロ。年齢28男。役割は....魔術師で中距離担当。以上。」


「なるほど?OK OK。」


 というか.....何のためにやってるんだコレ?


「ひょひゅうか、コレ何のためやってるんでぃすか?」


「んー?あぁ、ただの俺の趣味だ。」


「「へ?」」


「いや.....必要な情報は既に手に入れているし、俺の趣味以外なんかあるか?」


「本当にそういうひょころですよ....嫌われるのは.....」


(それな。)


「まぁ、それだけじゃ無いんだけど。じゃあ本題。コレ知ってるよな?」


 クルクル嫌われは、懐から何か取り出し、俺に見せてきた。


(確か.....ここの開拓のチラシか?何かおかしな所でもあったか?)

「もちろん知ってるけど.....何かおかしなところがあるのか?」


「いや?コレ単体だとおかしな点はない。けれども、お前は見てきたはずだ。“開拓”というにはおかしな点が。」

(コイツめっちゃタメ口じゃん.....)


「それを見つけるのが俺にとって何の必要が?」


「とりあえず考えてくれ。それが終わったらお前に話す事があるから。」


(はぁ....とりあえず考えるか。)


 ・ ・ ・ ・ ・


「ん.....?何かあったっけ.....?疑問に思ったのは.....貴族野郎の豪邸が建っていた事と.....冒険者ばっかり居た事くらいだな。」


「もう少し。違和感はあの王族にあるぞ。」


(アイツ王族だったんだ。それはそうと、それなら.....)

「ん.....?このチラシって、張り出されたか知ってるか?」


「お前らが大勢来た辺りからだから、最近だな。」


「最近.....?俺が聞いた中で、アイツは冒険者以外に指示を出して無かった.....それは、生産者が居なかったから?」


「ダッツライト。じゃあ何で生産職が居なかったのか?」


“ここに居られれば何でも良いかな.....”


「......アイツは王族なんだな?だったら、新しい土地を見つけた。でも、王国で後継争いがあった。アイツの兄貴やらは、アイツに日常的に嫌がらせをしていた。そして、アイツに逃げ出したいと思わせてからの、開拓の提案をする。そして、万が一ここの開拓が成功して、王座に就くのを恐れた、“だから、嫌がらせとして、生産職を派遣しなかった?”」


「違うな。それならば、兄貴自身がその土地へ赴き、結果を出せば良い。それに、邪魔なら邪魔で、他国に婿に行かせれば良い。しかも、それこそ、豪邸である必要は無い。」


「なら.....“婿に行かせられない理由があった” 事になる。となると.....いや、でもアイツには魔眼が無かった。だとすると......」


「一つ。世の中には無精子病という病気が存在する。そのまんまだな。」


「なるほど.....それなら......?」


 改めて考えると、この開拓には、深い事情が隠れたそうだ.....もしかして、とんでもない事に巻き込まれているんじゃ.....



 続く

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