第18話:違和感の正体ぃ.....


 ......いや.....待てよ?


 よく考えろ。ここまでの違和感を整理しろ。


・なんで俺を追いかけられた?走るだけじゃ間に合わないし、木をつたって来たのか?


・なんで投げてる最中このイカつい武器が無くならなかった?


・何で暗闇の中でも、相手は俺の位置をハッキリとわかったんだ?


・なんで1度光の魔法を俺に浴びせた?


・なんで音もほとんど無くした空籠土乱からばこどらんを察知出来たんだ?



「.........あっ......」


 あるじゃん。この状況で視界を確認出来る奴が.....


(魔力を感知出来る魔眼まがんだな。)


 魔眼っていうのは、瞳の部分に特殊な模様がある眼のこと。


 効果は種類によって色々だが、基本的に、“戦闘に対してだけ”は凄い効果がある。

 例えば魔力がバカ高くなったり、視力が異常なまでに良くなったり、魔力が変な感じになったりする。


 ただ.....魔眼を得た奴には、その得た力分の何かしらの障害が与えられる....が、これは戦闘で考えるだけ無駄だな。生殖機能が無い場合もあるし。


 それはさておき、恐らく相手が持ってる魔眼は、感知眼かんちがん

 その名前の通り、眼で魔力を感知出来る魔眼。コイツを使って、相手は俺の位置を把握出来ていたのも、俺の攻撃を躱せていたのもだからだろう。


 じゃあ何で木を伝って来れたか。それは、魔力の濃さが原因だろう。

 魔法を使う時、魔力を圧縮したり、膨張したりする事が出来る。

 圧縮すれば、攻撃の範囲を犠牲に威力を上げられ、その分魔力の濃度が上がる。

 膨張すれば、威力を犠牲に範囲を上げる事が出来、その分魔力濃度が下がる。


 このバカ範囲を考えると、十中八九魔力を膨張させてる。

 膨張すると魔力が薄くなる。

 薄くなると、透けて見えるけど、実際に物体があるところには魔力が無いから、その場だけ真っ暗になる。

 だから木とかの障害物の場所はバッチリ分かる訳だ。

 というかこうじゃないと本当に意味わかんねぇからな。

 もちろん俺だったり、ゴーレムみたいな魔力を持ってる奴は、色ですぐわかると思う。

 体の中だと、魔力は全身に流れてるにしろ、調節してないから普通に濃いままだ。

 だから、俺に光系の魔法を放ったんだろう。魔力の残量も減ってきてたし。


 あとわからないのは、飛ばしてくる武器についてだけど.....これは戦ってればわかるか。

 さっきからイカつい音出して脱出してるんだ。刃が鈍ってきてるはずだし。


 とにもかくにも、今俺がやるべき事は、周囲の魔力と俺の体内の魔力を調整して、ステルス状態にして、この暗闇を晴らさせる事。

 この規模の暗闇だ。どうせ一気に晴らさせる手段を持ってるはずだ持ってて欲しい。

 それと、出来るものなら近くの木にも、少ない魔力を込めた土で覆いたい。

 木の上で一休憩とか酷いからな。


 とまぁ、色々やる事はあるけど。


「ふぅ.....んじゃまぁ.....やりますか!」


 気合いを入れて、一気に魔力を周囲に巡らせる。


 ここまで相手の事が予想出来たんだ。

 無駄にはしないぞ。












〈雑学〉


 血流の速さは秒速1mで、一周するのに30秒かかる。

 だから、普通に突っ立って見てるならまだしも、動き回って見ているのだから、魔力が体で流れてるとはいえ、中々魔力の流れだけで人を判断するのは難しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る