第10話:勇者のトレーニングに付き合って、色々上から言うぞ!


【朝】



「はぁ.......」


 今日もバッドモーニング。

 今日は朝からシルトの朝トレーニングに付き合っている。


 大して寝れもし無いし、朝ゆっくりも出来ない......冒険者の''ある程度自由に働ける''という不動のメリットが消えた.....


 まぁ....コッチに来たからには冒険者というよりかは、領民になる覚悟はしてたけど、いくらなんでも俺の負担がデカくねぇか?というか俺以外が弱すぎる!なんだよ全員俺のクソアイテムで全快しないと手遅れだったし!

 何?馬鹿なのか?何でランク制限つけなかった!?ある程度実力が無いと色々と困るだろ!そりゃ高ランク冒険者は怖いし、気持ちはわかるけど、だとしてもさぁ!


「ふぅ.....とりあえず毎日トレーニングが終わったから、そろそろ頼めるか?」


「はぁ......了解。」

(しゃーない、切り替えてけ。)

ゴッゴッゴゴ



 シルトから、Bランク相当のゴーレムと戦いたい、と頼まれたから作って動かすことになった。どうでも良いけどシルト達はCランク(F〜Sの中で真ん中のランク)らしい。


 それとゴーレムってのは、魔物の多い洞窟などで魔物の死骸の残った魔力から発生し、魔力のある奴を襲って魔力を奪って、自身を強化する野蛮そのものの土の塊だ。

 体は魔力で強化された土でカチカチだし3メートル超えで図体もクソデカいし重いし、攻撃は重量に物言わせてる馬鹿みたいな威力があるし、ハッキリ言って個体差はあれど、どのランクのゴーレムも大体ランク相当とは思えないくらい強い。




 流石にゴーレムを作るのに魔物の魔力を使うのは、あまりにも面倒くさいと言う事で、自分の体感のゴーレムの硬さと重さを調整して、俺が動かすことになった。


 というか、ゴブリンキングにボコボコにされてたし、自分よりランクの高いのと戦いたい気持ちは強くなりたいからってある程度わかるけど......精神強すぎじゃね?


「出来たぞ。あ、一応ゴーレムの倒し方教えとくか。ゴーレムは体内の魔力を無くせば動かなくなる。体をボロボロにするか、時間は掛かるがチマチマ削って耐久戦法が一般的だ。それじゃあどうぞ〜」


「いくぞ!」


 シルトが剣を鞘から抜きゴーレムへ踏み込む。


 シルトとゴーレムの距離はダッシュで3歩位.....下手に突っ込むと斬れずパー。かと言って消費魔力が少なく威力も相対的に高くなる近くでの魔法も、ゴーレムの硬く固められた土とそれにの魔力のせいで打ち消されるし......どうする?


 踏み込んだシルトはそのままゴーレムに向かい、ゴーレムは拳を振り上げる。


ゴッ スッ


 ゴーレムに剣を突き刺し、そのままゴーレムの攻撃を横に避けた。シルトは再び刺さったままの剣を掴み


「ドレインサンダー」


 ギリッキリッギリン


 ゴーレムに紫のピリピリのモヤがかかり、


 ゴロッボロッ


 ゴーレムのいたるのころがボロボロと崩壊していく。


 ゴーレムを倒したと思ってるシルトは、ホッとしたような態度だ。一回避けて魔法やっただけだから、まだまだ体力も余裕そうだ.....だけど.....


「ばーか。」


「は?」


 俺の方に向いた大バカ慢心シルトに後ろから、ゴーレムの無情なグーが襲いかかる。


「はっ.....」


 グギッ


「いっ.....ドレ......イン.....」


シューン


 間一髪片腕だけで済んだシルトが、崩壊寸前のゴーレムに剣先を向け、トドメのドレインでゴーレムの魔力を吸い取る。


ボロッ ガダッガダッ



 崩壊したゴーレムを確認し、シルトに近づき、


「とりあえずお疲れ。回復出来るか?」


「......出来ない......」


「ん〜じゃあ仕方ないか?」


 タラッ


 ユグドラシルの雫を垂らした。すると痛がっていたシルトがみるみる元気になっていく。


「............?」


「.....?どうした黙って?」


「いや.......そんな簡単に使って良いのか?その雫。」


「メチャクチャもったいないけど、お前のに...仲間起きてんの?」


「わからない。」


「わからないんだったら、呼びに行ってもし寝てたらお前の痛い時間は長くなるし、それはそれで見ものかもだけど、」


「おい。」


「正直、手っ取り早くやるんだったら、これが1番早くて良いからな。まだ残りもそこそこ有るし。」


「いや、入れ物見るにそんなに残ってなくないか?」


「いや、自分の部屋に後3個くらいあるんよ。だから当分は大丈夫だし、意外と一本で、50回くらい使えるからな。後20回くらい使える。」


「それなら.....まぁ......」


「と、それはさておき、さっきの見て思った事言ってくか。まず、急にドレインなんちゃらっての使ってたけど、あれって何?今までよりチープ感が少なかったし。」


「........ドレインサンダーは、攻撃と相手の魔力を奪うのを同時にできる魔法だ。俺が、魔力を奪うだけだと使いどき選ぶし、同時に出来たら強そう。って思って作ったやつ。」


「ほーん。そういえば、なんでゴブリンキングの時使わなかったんだ?」


「ゴブリンみたいな魔力量の少ないやつには、魔力消費量が多いドレイン系あまり使いたく無い。」


「あ〜、吸収あっての魔法だしな。確かに微妙か。」


「そうそう。」


「う〜ん......そういえば雷系とドレイン系どっちが得意?」


「え?う〜ん......そう言われると......」


「雷系が得意って言い切れないなら、ドレイン系に力入れた方が良いんじゃないか?ドレイン系使える勇者って初めて見たし、多くの凡才勇者に埋もれないし。」


「ん〜、埋もれる埋もれないはさておき、確かによく有るやつよりも、希少な長所を伸ばした方が良いかもしれないな。」


「あぁ。あと、お前に剣はあんまり合わない気がする。」


「ん?というと?」


「片手剣でもう片方で盾を使わないで、魔法を使うのはわかるんだ。だけど、俺が見た中でお前が空いてる方で魔法使ってるの見た事ないし、なんならから、舐めプしてる様に見えたから一応言ってみただけだ。」


「う〜ん.......考えておくよ。」


(あっ....コレ考えてる感じに見せてるだけだ.....)


「あと、お前慢心し過ぎ。死ぬぞ。」


「肝に銘じておくよ......」


「そうだな。じゃあ俺はちょっと。」


「ん?何か用事でも有るのか?」


「ちょっとな。」


 そう言い、俺は違和感の場所へ向かう。



〈ロウラ視点〉


【9:20 a.m.】


「はぁ.....行くか。」


 島の見回りの開始の時間10分前なのを確認し、洞窟へ向かう準備をする。


(いくらか話したい事もあるし、食料をいくらか必要だろうし、繋げておくか。)


 店で売っていた食べ物をバッグに詰めていく。


(いつも世話になってるし、牛系統の肉でも入れていこう。)

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