第9話:寝れねぇ夜に差別洗脳の被害者は語り合う
「お前.......俺の事差別してたりする?」
「は?」
シルトは、突然何言ってんだコイツ?と戸惑いが混ざった様な顔をした。
「おっ、ビンゴ?」
「............」ソッ
シルトは気まずそうに目を逸らし、だんまりを決め込んでいる。
「まぁコッチから好き勝手言ったほうが良いな。」
そう言い、俺は酷い事を言い始めた。
「言葉はあってるか知らんが、俺もお前の事を差別してる。俺の村だと赤髪はもうありえんくらい差別されてた。わかりやすく言うと、人権なし
「空気を読め無いなんてどうなってんだお前の人間関係。」
「空気読んだら読んだで空気が死ぬんだよ。今の翻訳してやろうか?字面だけでもヤバいのわかるだろ。」
「確かにそうだな......」
「な?胸糞の匂いがプンプンするだろ?はっきり言ってこんなん空気読んで話したらお前感情移入してそれはもう.....な?で、そんな村のイかれた行いを見てた俺もまぁ....少し.....」
「差別の意識が根付いてしまったと。」
「まぁ....そうだな.....」
(4分の1位コイツへの私怨のせいもあるけど......)
「それで...何で差別されてたんだ...赤髪は...」
「迷信....というか宗教的な価値観だな。赤髪は血を表すからってのと、あと戦争で活躍した人は大体赤髪が多いっていう記録もあるし、実際赤髪は戦争に強制参加だし。」
「.....どの地域もそんな感じの理由なんだな....」
「というと?」
「俺の地域は、黒髪は悪魔の末裔とか血筋って言われててな.....」
「はぇ〜あれ?悪魔って黒い髪だっけ?」
「いや知らないわ......」
「確か俺の記憶だとゲロみたいな髪と肌色だった気がするんだけど.....」
(なんだろう.....重い雰囲気になると思ってたのにこのよく分からない雰囲気.....)
「まぁ、いいや。どうせどんだけ言い訳しても、なんか凄い深いところに刷り込まれてんだから無理だし。」
「はぁ......」
(なんか......肩透かしを食らった感じがして疲れたな......)
「おい、お前も差別している側だと言うのを忘れるな。」
「勘違いだ......そんな呆れたりできる立場じゃ無いし.....」
(何だろう.....良くも悪くも自分に正直過ぎないか....この人......)
「で、俺が結局何が言いたいかだけど.....正直な話今更この意識を変えようにも無理。じゃあどうするか......」
改まった様な態度で話し始める。
「お互い人として見ない方でいこう。」
「は.....?」
(なんだ......逆転の発想?だとしてもそんな言葉出てこないだろ普通.....なんだ.....本当はサイコパス.....?)
「言いたい事はわかるが、正直俺に強さ以外の魅力なんてほぼ無いだろうし。俺にとってお前は、顔も良いし女もいる上に、冒険者というその日暮らしの肉体労働を選んだバカにしか思えないし、ちょうど良く無いか?お前にとっての俺の印象はわからんけど。」
「.......そうだな......」
(普通に性格悪い人な気がしてきた.....サンダ
ロスさんに貴族って言ってるのもそうだし....色々バカにし過ぎじゃないか......?というか)
「そこまで言うなら何で冒険者になったんだ?」
「逆に聞きたいんだが、小卒低知能体力小力カスが他の仕事に就けるとでも?」
「それは厳しいかもだけど......」
「ちなみに冒険者を辞めようと、土魔法を活かせそうな大工さんとかの建築系でバイトしたんだけど、設計図の意味が分からず自己嫌悪になって辞めた。」
「?」
「農家になろうと弟子入りしたら、体力がカス過ぎて種を植える作業で力尽きて辞めた。」
「.........」
「居酒屋でバイトしたら、客がウザすぎてすぐ辞めた。」
「........」
「以上。わかったか。俺は思っている以上にダメ人間だ。だからこんな仕事してるに決まってんだろ。」
「.......何だろう........緊張感がまるで無い...」
「別に明日すぐ行くって訳じゃ無いんだし、仲間が人質に捕られているのはいえ緊張のし過ぎは良く無いぞ?」
「なんでそんなに落ち着いてるんだよ.....」
「こう言う時こそ落ち着いてる奴が必要だと思ってな。」
「..........確かにそうだな.......確かに少し逸れた気がする......か.....?」
「まぁどっちでも良いだろ。俺はもうちょいここに居るけどお前はそろそろ寝た方が良いんじゃ無いか?」
「そうだな......遅くまで起きてると本調子が出ない事もある。寝る事なも訓練の1つだからな。」
そう言いシルトは戻って行った。
「はぁ......」
(訓練の1つ......か......やっぱり話してみると戦争で活躍できる理由がわかるな......差別は良く無いけど)
「気持ちがわかる以上今更変えるのは無理だな.....」
〈ロウラ視点〉
『休憩室』
「ふぅ......」
(今日の分の仕事が終わり、後は報告書作って報告するだけか。一息ついたら報告書作ろう。)
紅茶を飲みながら一息ついていると、
「あ、ロウラ君だ。」
「ダラーさん、お疲れ様です。」
「うん、お疲れぇ。紅茶貰ってきたんだ。」
「はい、一息つきたくて。」
「最近激務だしねぇ。私も酒を飲む手が離せないよぉ。」
「代わりなんですから自重くらいしてくださいよ。水をどうぞ。少しマシになりますよ。」
「水くらいじゃ酔いなんて冷めないよぉ。」
「もう川にでも放り込まないと覚めなさそうですね。手伝いましょうか?」
「遠慮するよぉ。そういえば業務連絡があったんだった。」
「なんですか?」
「最近この島の付近で船がウロチョロしてるらしいぃ。イフナに隠蔽の結界を張ってもらったけど、一応警戒しておいてぇ。」
「わかりました。では、自分は報告書作るのでこれで。」
「うん、頑張れぇ〜」
ドゥルン
そう言い自分は亜空間を出現させ、書庫に移動する。
(ダラーさんは良い人なんだけどな.....シャ○やめてもう少し飲酒量を減らしてくれたら.....いや、それは.....酷だな.....)
そう思いつつも気持ちを切り替え、報告書を作成し始める。
(そろそろあそこに様子見行くか。)
気持ちは切り替えられても、中々集中は出来ない.....
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