第9話

 おばあちゃんの魔法陣の地図には、色々と複雑に描かれていて地図以外にもっとなにかが、組み込まれてはいるのはなんとなく分かるが私が分かる事といえばこの魔法陣は地図だという事くらいだ。

 よくわからないがこの地図を頼りにどこかへ迎えと言っているのだろう。たぶん。他に方法がないので従うことにする。


 魔法陣に魔力を通すとその紙は青い炎に包まれ燃えてなくなった。魔法陣は一回こっきりだ。

 そして目の前には青いビー玉のような物が浮いている。

「示せ」

 そう言うと青く光り、一筋の光が現れた。方向は隣国の向かう道のりから、ちょっとはずれて東方向だ。

「表示」

 そう言うと、自分が向かう地図が現れた。まるで液晶画面のようだ。その地図にはあちこちに赤い点が表示されている。赤い点は魔獣の印らしい。親切に液晶画面の下の方に説明が出ている。今は結界魔法のおかげで必要のない機能だがあれば便利な機能だろう。液晶画面は私が歩くと一緒に付いてくる。普通なら消えてしまうのだが「消えろ」と言うまで表示したまま移動してくれるのだ。まるでカーナビのようだ。有り難い。

「こんな機能も付けられるなんて兵士のおばあちゃんって何者だろう?まあこんなすごいものが作れたのだから陛下も信用していたのかもね。魔術師兼占い師だったのかな」

 しかも色も青だ。これの色は専用を表している。つまり私専用の地図だ。他の誰からも見られる事もないし、扱えもしないのだ。それは手間と能力もだが金も掛かる。青の魔石が必要になるからだ。青の魔石は水辺の魔獣にしか取れない貴重な魔石だ。こんな地図に使用する人がいるならば、それは王族の莫大な隠し財産を示す地図を作る時だけだろう。普通の人には必要ない。地図の主流の色といえばオレンジ色なのだ。誰にでも扱えるし見ることも出来る。地上に住む魔獣の魔石なら簡単に採取出来るし魔法円で十分なのだ。


 手間というのはその本人の血なり魔力が必要になるのだ。兵士のおばあちゃんは私の血か魔力をどこかで手に入れた事になる。

 

 ナビに指定された場所に行くしか選択はない。示された青い線に案内をされ真夜中に進む。進むに連れて移動距離や時間が表示された。このまま進めば、あと2時間くらいで着くようだ。今夜中には着くかもしれない。あまり遠くない事に安堵した。

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