第13話 テスト当日
明後日はいよいよ中間テストだ。
「ダメだーわからーん!どうしよう藤也くんこれじゃあ、赤点取っちゃうよー!」夕食後のテスト勉強中に柚木は、嘆いてきた。
「どうしたものか。柚木、このままだとE組に降格になるぞ。そこでも赤点を取るようなら、いよいよ退学だ。」
うちの学校は、AクラスからEクラスまであって、Aクラスは、何かに特化した才能を持つ生徒か成績優秀な生徒が集められた特待生クラスで主に美術コースと文芸コースに分かれている。Bクラスは、Aクラスほどの才能は無いがその可能性を秘めているに二軍クラス。C組は特にこれといった才能を持たない生徒の集まりで普通クラス。
要するに、BクラスとCクラス供に普通科なわけだ。そして、Eクラスは、入試試験で成績下位の者や定期試験で赤点を取った者が落とされる人材の墓場クラス。
そこでも、また、赤点を取るようなものなら、この学校には必要ないと見なされ即刻、退学となる。昇格制度も存在するが、一度、Eクラスに落とされてからの上のクラスへの昇格は難しいとされている。
Eクラスに落とされること自体が死の宣告をされているようなものだからできることなら赤点は回避したい。
「柚木は、勉強の基礎が出来ていないからそもそも勉強が理解できないんじゃないか?」
「えーじゃあ、どうすればいいのー??」
「そうだ!
「藤也くん。わたしを馬鹿にしてる?高二が中学生に勉強を教えてもらうなんて!」
「わかった。お前は中学生より頭がいいっていうんだな!」
「そ、それは...」
「聞かぬは一生の恥。聞くのは一瞬の恥ってな!恥を忍んで勉強を教えて貰ってこい!」
「むう、わかった...」柚木は、不満抱きながらも愛那に勉強を教えてもらうことにする。
そして、俺は、愛那に事情を説明してテストが終わるまで、柚木の家庭教師をやって欲しいと頼むのだった。
「愛那ちゃん、よろしくお願いね」
「はい、任せてください、柚木さん。必ず、いい結果を残してテストを乗り切りましょう!」
「愛那ちゃん、なんていい子。妹になってー!」などと柚木に妹好きのスイッチが入ってしまうのだった。
こうして、立花からの勉強法と愛那ちゃんの基礎学力を付けるのに、勉強していく
初めのうちは、柚木は、中学生の問題でも、苦戦するのだったが、愛那のマンツーマン指導で問題の理解も深まっていき、公式の解き方を覚えていき、立花に教えてもらった公式に当てはめて、問題の解き方を覚えていく。
「ふー。何とかこれで及第点ですね。いい調子ですよ柚木さん!」と好感触を得る。
「これで、基礎は完璧です。あとは、柚木さんが、テスト問題に対処できるかが、問題ですね。言っておきますが、基礎を叩き込んだだけですから、ここから赤点を回避できるかは柚木さんの頑張り次第です」
「わかったよ。わたし、頑張る!ありがとう、愛那ちゃん!」
「はい。頑張ってください柚木さん」愛那ちゃんは天使の笑顔でそう言い、エールをくれる。
「あと、藤也くんテスト当日は、わたしを朝起こしに来てくれない?寝坊はできないからさ」
「藤也くん、明日は、前に渡した合鍵を使って起こしに来て。」
「よーし、わたしも頑張らなくちゃ!」そう気持ちを新たに一歩を踏み出す柚木だった。
***
中間テスト当日のこと、俺は、自宅マンションで、双子の妹の
中間テストのことだよな。と思い、俺は「わかった。柚木に愛那がエールを送ってたことを言っておく」と微笑み言う。
「ありがとう、兄さん。柚木さんあんなに頑張ったんだもん、きっと大丈夫だよね!」
「そりゃ、そうだ。何たって最強の家庭教師に教えて貰ったんだからな」
「うん!そうだよね」
「ふん、せいぜい兄貴が赤点を取らないようにね。まあ、あ兄貴がEクラスに落ちるとか草生えるけど」
「おいおい、そんなの、笑いごとじゃないからな!」
まったく、Eクラスに落ちるようならシャレにならないっての!柚木もなんとかしてクリアして欲しいものだけど、見事なことに不安しかない。
「ごめんごめん。半分冗談だから」と優奈はおどけて悪戯な笑みを浮かべる。
「半分は、本気かよ!縁起悪いな!じゃあ、俺、柚木を起こして学校に行くから!」
急いで、食器を片して、ダイニングを出ていこうというところに「もう、いっそ一緒に住んじゃえばいいのに...」と愛那の声が聞こえてきた気がした。
隣の柚木宅の前までを訪れるとインターホンを押すが返答が返ってこない。柚木は、やっぱりまだ寝ているのかと思い、以前、柚木から貰っていた合鍵で扉のロックを解錠して中へ入る。廊下を進みダイニングに顔を出すが、柚木の姿は当然無かった。
(アイツ、まだ寝てるな...)
「早く起こさないと、学校に遅刻してしまう。今日は通常通りの学校ではない。
中関テストが一限目から行われることで遅刻なんてできるはずがなかった。
時計を見ると、7時を少し過ぎていた。柚木は、まだ寝ている。
ヤバイ!これじゃあ、遅刻コースだ!急いで柚木を起こさないとと寝室へと向かう。
女子高生の寝室に勝手に入るのは、男として気が引けたが、緊急事態のことから失礼して
扉を開け中へ入ると、柚木はというと案の定、ベッドの上で、タオルケットにくるまってい眠っていた。
「起きろ、柚木。遅刻するぞ!」
「うにゅう...うへへもう食べられないよ...」
「お・き・ろ。」俺は、柚木のタオルケットを剥ぎ取ると柚木が身を縮めて寒さに丸くなる。「さぁ、起きろ!」と声を掛ければ彼女の重い瞼のカーテンが開く。
「あれ?藤也くん?」
なんでここに居るの?と微睡を含んだ顔で俺を見つめてくる。
瑠璃色の瞳に見つめられて、こんな時にドキドキしていられないことから、俺は胸の鼓動を静める。「よし、朝食は、夢の中で食べたな!もう、食べている時間が無いから行きしなでコンビニで菓子パンでも買おう。さあ、学校に行くぞ!」
「待って、着替えるからちょっと待てて」と柚木は、俺を寝室から退けて着替えに取り掛かる。
柚木の着替え待って、足早に柚木宅を後にするのだった。
「藤也くんコンビニで朝食は、買わなくても良さそうだよ」
「えっ、でもちゃんと朝食は食べないとだぞ。これからテストを受けるんだ。頭が働かないぞ」
「ふふん。これ、なーんだ!」と柚木は、鞄からある物を見せる。
「あっ、カロリーブロック」
「そう、常に常備しておいて良かったよ」
「そうだな。今回ばかりは助かったな」
そして、柚木と一緒に登校し、遅刻ギリギリのところで教室に入れた。
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