第11話 付き合っちゃう?
マンションに帰り、朝に教室で話題に上っていた交際の噂について柚木は触れてくる。
「藤也くん。教室で噂になっちゃってたね。まさか、この間のデートを目撃されていたなんて」
「そうだな。でも、デートに行ったのは本当だろ?交際については言われのない噂だけど」
「嫌だった?わたしと交際の噂をされて...」柚木はモジモジと気恥ずかしそうに言う。
「イヤ、嫌ではないけど...」
「ないけど?何?」
「それは...」
正直、気恥ずかしく心臓に悪い。俺は、平穏に学校生活を送りたいだけなのに、柚木との交際を噂されて男子からは、
「嫌じゃないんだったらさ、私たちホントに付き合っちゃう?」と柚木から悪戯な笑顔で言われる。
」「ハァ!」俺は、不意に声を荒げてしまう。だけど、俺の心音は言葉とは裏腹に爆音を立てていた。心臓の音がうるさい。俺は動揺を隠そうと平常心を装う。
「付き合う?俺と柚木が?」
そんなことをしたら更に柚木に恋する男達の風当たりがつ強くなってしまう。
しばらく間があり、柚木が「イヤ、冗談なんだけど本気にした?」と悪戯っぽく言う。
「イヤ、それは...」男として、そんなんことを言われれたら期待しちゃうじゃないか!
「あまり、男をからかうなよ。柚木からそんなことを言われたらこっちだって本気にするだろ?。あと、男って単純だからそんなことを軽はずみで言うもんじゃない!」
「ご、ごめんなさい...」
ビックリした本気かと思ったじゃないか。まったく冗談はやめて欲しい。
でも、付き合いたいか付き合いたくないかだったらできることなら.......
「でも、もし仮に付き合ったら俺たちは何をするんだ?」
「えーと、放課後に一緒に部屋で過ごしたり?」と柚木は一瞬考えて応える。
「もうしてる。」
「藤也くんがわたしの家に来て夕食を作ってくれたり?」
「毎日作ってるな」
「それじゃあ、休日にデートとか?」
「この前行ってきたよな?」
「あーあとはー!」
気がつかなかったけど、俺たちって無意識に恋人みたいなことをやっていたんだな...
「無理しなくても、俺はこのままでもいいぞ」
「それじゃあね、き...イヤ、何でもない!」柚木は、何かを言いかけてやめる。
「おい、今何言おうとしてなかったか?」
「う、うるさい!何でもないから!」
何を言ったのか追求したらキレられてしばらく口をきいてくれなくなった。
「さあ、機嫌を直してくれよ。」今夜は柚木の大好きな煮込みハンバーグにするからさ!」
「むう、仕方ない。それならわたしの分は三個で手を打とう」
「それで許してくれるのか?」
「しょうがないなー許してあげる!」
「よかった」
なんだ、ちょろいなこれからも機嫌損ねたらこの手でいこう。
「じゃあ、わたし夕食ができるまで部屋でゲームしているから出来そうになったら呼んで」
そうして俺は、料理人愛用アプリクックパパを見て煮込みハンバーグのとレシピを見る。
合挽き肉とみじん切り玉ねぎと卵、水、パン粉。、塩胡椒ウスターソースを少々入れてボウルで混ぜ合わせてタネを作る。その他調味料、ナツメグを混ぜていき、ハンバーグの下ごしらえを済ませて鍋でトマトソースを作りハンバーグのタネを投入して煮込んでいく。
「よし!あと数分煮込めば、煮込みハンバーグの完成だ!さて、柚木を呼んでくるかな」
トマト缶トマトペーストケチャップで作ったトマトソースでグツグツとハンバーグを煮込み続け俺は、柚木の私室の前まで来てノックする。
、「柚木、もうすぐ完成だからリビングに出てきてくれー!」と声を掛ける。すると「はーい!今行くー」と返事が返ってきて俺は、その場を後にしてキッチンへと戻る。
しばらくして、柚木が携帯ゲームを片手に、リビングへと来た。
ちょうど、愛那たちも来たことだし、夕食を食べ始める。
「今日は、大変だったな。そう言えば朝のホームルームの後で、咲良ちゃんから呼び出されて、柚木の勉強を見てやって欲しいって頼まれたんだ。中間テストも近いから心配なんだろうな。どうなんだ?成績の方は?」
「ふ〜んそうなんだー。やっぱり、藤也くんのハンバーグは美味しいなー!」
だろっ!隠し味にコクを出すのに赤だし味噌を入れているんだ。そうすると肉にコクが出て美味しくなるんだ!」
「そ、そうなんだー流石は藤也くん。料理上手!」
「って、なんで話を逸らすんだ柚木。飯食ったら勉強するぞ!」
「柚木さん、頑張ってください!応援しています!」
「ありがとう、愛那ちゃん!」
「兄貴との勉強会だなんて適当に流ばいいのよ!」
「そうだよね、優奈ちゃん。わたしもやりたくない」
「お前は、どっちの味方なんだ!」と俺は呆れる他ない。
「えー!!」と柚木の悲痛の叫びは部屋に響いた。こうして、柚木の勉強を見ることになった。
「柚木、まずは数学からだ、。で、どこが分からないんだ?」俺は、高二の問題集を開いて解かせようとする。すると、問題を前にして固まる柚木。さっきからシャーペンがまったく動いていない。「柚木、お前まさか...」何だかイヤな予感がてきた。
「藤也くんスゴいこと言ってもいい?」
「いや、やめてくれ...」
「わたし、そもそもどこがわからないかがわからない。」と申し訳なさそうに言ってきた。
「マジか...」
マジだ」
「本気で言ってる?」
「モチのロン!」
「得意げに言うな!
正直、もう頭が痛い。これじゃあ、他の教科も底が知れるな。
「次は?次英語ならどうだ?」
「英文ってんてを書いてあるかさっぱり分からないの。」
「おい!帰国子女!お前海外に居たんだろ?どうしてたんだ?!」
「えへへ。全部、通訳にやってもらってた」
マジか、とんでもないな。
「次だ!歴史は?」
「美術の歴史だけ知っていればいい」
「化学・生物・物理は?」
「別に科学者になるわけじゃないし必要ないかな」
「じゃあ、何が得意なんだ?」
そもそも、得意な教科なんてあるのか?コイツ。
「原文・古文かな」
「ほぼ、全滅じゃないか!文系だけが得意ってそれじゃあ試験は乗り切れないぞ」
これは、柚木を赤点回避に導くのは思っていたより難しそうだ。
あれ?よくよく考えれば柚木ってそもそも中学レベルから理解していないんじゃ?
俺が今、高二の勉強を教えるよりこれは適任の講師がいたかもしれない。
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