第9話 交際の噂

ゴールデンウィークも開けて学校で、休み明けに教室に入ると、何やらクラスメイト達が騒いでいた。

何のことかと思っていると、俺と唯依が一緒に教室に入ってくるのを見た、クラスメイト男子が

「やっぱり、あの目撃証言は間違いじゃなかったんだ」と騒いでくる。


「おい、いったいなにがあったんだ?説明してくれよ」何がなんだか分からず説明を求めるとクラスメイトの男子は、こう説明してくれた。


「それがこの前のゴールデンウィークに柚木さんが、誰か男の人と親し気にショッピングモールでデートをしていたという目撃証言があったんだよ!てゆーか、それってお前だったのか藤也?!」


え、行ってないけど。なんで俺が柚木と」


「意義あり!ネタは上ってるんだよ藤也。お前が、柚木さんと仲睦まじく映画デートをしてるのを見たっていう目撃証言だってあるんだぞ!」


と一人の男子生徒が、俺を指さして言ってくる。まるで逆〇裁判みたいなやり取りが繰り広げられる。



「う、あ...」

しまった。見られていたか!これはもう、シラを切るのは難しそうだ。どうする?どうする俺!

これは、非常にマズい穏やかな学生生活を送ってきたけどここまでか。


「いつの間に、柚木さんと付き合ったんだよ!」と質問攻めに合う。これは面倒なことになった。


「あれか、この前、いじめっ子から助けたからそれで好感度アップで惚れられたのか!?」


「ち、違う柚木とはそんなんじゃない。ショッピングモールには行ったけど俺たちは付き合ってない」



「クッソ―仲睦まじい友達かよ!どちらにしても羨ましいなおい!」


あとのことは適当に流して、俺が柚木と隣同士に住んでいて半同棲みたいなことをしているのは伏せて抵当に話を合わせておいた。バレたら今以上に面倒くさいことになるのは目に見えているから勿論、黙っておくつもりだ。そして、予冷がなり、咲良先生が教室にやってきてホームルーム開始となる。


「皆さん、楽しいゴールデンウィークはどうでしたか?羽目を外せましたか?外しすぎもダメですよー!」


「さあ、楽しかった休みも終わり、二週間後は待ちに待った中間テストがあるので気を引き締めるように、来週からはテスト週間で部活動は休みとなるからね~」そう、咲良ちゃんは、ハイテンションで言う。どこか無理して元気に振舞っている気が…

気のせいか!

「あと藤也くんはこの後私のところへ来るように。じゃあねー」そう言い、咲良先生はホームルームの終わりを告げたのだった。



「なんの用かな咲良ちゃん、まあさか愛の告白?」俺は、ホームルーム後に教卓へ行き咲良先生に冗談交じりに訊く。


「コラ。先生を付けなさい!まったく藤也くんはー。先生をからかうものじゃありません」そう、頬を膨らませませて、むくれ面で言う。


「藤也くん、用事と言うのはね、来週からテスト週間なのはさっき言ったでしょ」

「はい、それであなたには、柚木さんの勉強の面倒を見て欲しいの」


「言っておきますけど、俺は、そこまで成績優秀ではないですよどれも平均値なんですが」

「大丈夫、柚木さんはその平均にも届いていないので」

「いや、それって、大丈夫じゃないですよね?」


「そうなのヤバいの!このままだと柚木さんは、学校に復帰出来てもこれから先のテストは赤点だらけになって終いには、Eクラスに降格にになって、最悪の事態で退学に成りかねないの、そこで藤也くんにはせめて彼女が赤点を取らない様に勉強を教える家庭教師になって欲しいの。お願い、勉強の面倒を見てあげて」



「あと、噂に聞いたんだけど、二人は付き合ってるの?教室に入る前に生徒たちが言ってるのをきいちゃったんですよね」


「いや、あの噂は誤解ですから」


「えっ、そうなのお似合いだと思うけどなー」そう言い先生は少女のようなあどけない笑顔を見せる。


無邪気に笑う姿は可愛らしく、教師というか女子大生みたいに若々しい。大学生になったら彼女のような女の人と恋がしたいと思う。


「柚木って一年の頃は特待生のAクラスだったんですよね?どうしてこんな落第ギリギリの成績でAクラスに居れたんですか?」


「柚木さんはね、美術の成績は良かったのよ、美術だけはね...」


「つまり美術以外は点でダメだということですか?」

そうね、勉強の方の成績は良いものではなかったわ。でもAクラスに選ばれる要素はのは学力だけとは限らないのよ。学業いがいでも優れた才能があればAクラスに選ばれることもあるから。」


「柚木の場合は、それが美術だったんですね」

「教師達も彼女の美術センスだけは買って、特待生としてAクラスとなったのよ」


「そうだったんですか知らなかったです。わかりました。俺が責任をもって出来る限り柚木に勉強を教えていきます!」



「良かった。その言葉が聞きたかったのよよろしくお願いね藤也くん。任せましたからね」


「はい、任されました」


こうして、俺は、柚木の家庭教師となったのだった。まさか美術以外赤点候補だなんて

5科目全部平均点を取らせるなんて出来るのか?どうやら赤点回避をさせるのは難しそうだ。


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